【ゴールは】イバラキイバラキ【あっち】

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 3年前、大阪の茨木市(いばらきし)から茨城(いばらき)県に向かう中山道経由600kmワンウェイブルベ、イバラキイバラキが誕生した。大阪人としては食いつかずにはいられないネーミングのこのブルベ、1年目は200km100周年ブルベと同日だったため見送ったが(同日開催のブルベの中で一際異彩を放っていた)、実際にはN2BRMで10月開催となって急激な寒さで完走率が低い高難度のブルベとなったらしい。2年目はゴールの交通アクセスが改善され、ドロップバッグが利用できるようになったものの、雨ブルベとなりやはり完走率が低かったらしい。この年は連休を利用して子どもとキャンプツーリングに行っていた…。3年目の今年はこれを本命として、スケジュールが判明次第、仕事を調整して挑んだ。
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<目次>
□ 計画
□ いばら き~ま いばら
□ 岐阜っふー
□ 諏訪ですわ
□ おおぐんたま
□ イバ~ルァキィィ

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□ 計画
 今年もありがたいことにドロップバッグ預かりがあり、しかも中間地点のPCで利用できるという。主催者さんの完走率を上げたい気持ちがひしひしと伝わって来る。ゴール後に使いたい着替えと靴とデオドラント用品、しっかりした輪行袋などの他に、中間地点で使うかもしれない充電セットと衣類をアクセスしやすいように小分けにしておいた。
 ゴール後、20:14が大阪に帰れる終電となっていた。完走できたとして終電に間に合わなければ、次の日は平日なので東京または品川に泊まって始発で輪行袋を担いで出勤しなければならない。仕事を遅出にして調整はしたものの、できる限り終電で帰りたい。なので仮眠なしで走ることにした。過去600kmで寝ないで走ることも2回経験していて、特に直近【大阪から】夜スタートブルベ、諸々との闘い【琵琶湖1周】での感触がよかったので、同じように調整することにした。2週間前からカフェイン入り飲料を1日1杯に減らし、1週間前にはゼロにして最低1日6時間の睡眠を確保した。前日だけは準備で短時間睡眠になったけれど。
 GPSサイコンは前回のブルベのために購入したGarmin Edge1040 Solar(公式ページ)をメインとして、予備として今まで使っていたEdge530をサドルバッグに入れておいた。前回、途中でEdge1040が一時的にフリーズし、530のほうを使う場面があった。

(楽天市場)

フリーズした理由は、Garmin ConnectでPCや休憩地点をあらかじめ「コースポイントを追加する」で登録したため、情報量が重くなったからではないかと推測し、今回はコースを3分割した。「コースポイントを追加する」に登録しておくと近くに来るとアラートが出るので、今回のように迂回で距離が分かりにくくなるときには心強かった。
 Twitter民の私は、いつも他の参加者を探して天気予報を参考にするのだが、今回は参加者が少なすぎて情報がなかった。いい加減自分で調べなさいよ、ということだと諦めてEpic Ride Weather(リンク)というアプリを使うことにした。GPXファイルから、もっと簡単にはRide with GPSに登録してコースをピン留めにしておくと、簡単に走行中の天候を予想することができた。数日前の予報でもほぼ当たりだった。課金も良心的だし、今後も活用するつもりだ。
 スタート前日夕方から、西日本からコースの中盤の山中に掛けて豪雨が降った。前半のクライマックスである大平峠(おおだいらとうげ、別名木曽峠)を通る道には、土砂崩れが発生していた。周りの迂回路は大雨規制。通るのは24時間後だが行けるのか? 考えても分からないが、大平峠が通行できない場合の迂回路は参加案内で事前に説明されていたので、Googleマイマップにルートを入れておいた。

□ いばら き~ま いばら
 当日は体力温存のためタクシーでスタート地点へ。前日の豪雨で不運にもスタート地点に辿り着けなかった人もいたそうだが、予想よりDNSの人数は少ない。ブリーフィングにて主催者さん、「ゴールはあっちです」と東を指差す。大阪人としては笑うところだと思うのだが、過酷だといううわさを皆知っているからなのか笑いが起きない。大平峠はやはり迂回が必要そうで、この時点では予定の迂回路は大雨規制が出ているとのことだった。半日後には解除になる見込みだったが、最終的にはその前のPCで通行止めが解除されているか教えてもらえるとのことだった。ありがたや。
 ブリーフィング後、トイレに行ってドロップバッグを預けて車検を済ませ、5分遅れで出発。しばらくは平坦だが信号が多めの道を進む。諸事情で今回は初めてタイヤを普通のグラベルキング(GravelKing) 23Cから26Cに変更したのだが、ストップ&ゴーで前の人に追いつきにくいと感じた。20kmほどは前の人について行ったものの、後ろを走っている限り、緩いアップダウンのときに下りで踏んで登りを惰性で登る、という省エネ走法ができないのがストレスになってきたので前に出ることにした。ほどなく千切ってしまい、ずっと丁寧に手で合図を出してもらっていたのに何だか申し訳ない。
 滋賀県大津市に入るとすぐに激坂が現れた。キューシートにもあった通り、段々道に穴が開いてようにガタガタになって来る。昨日の雨で水が流れている。小関越(こぜきごえ)の旧道というらしい。

前を押し歩きしている人が見え、どこまで乗ったまま行けるだろうか、と思った瞬間、後輪が何かの葉っぱで滑る感覚がして足付きをした。仕方ないのでしばらく押し歩きする。水の流れがなくなった頃、道のガタガタもなくなったので再び乗り出してみた。結構な勾配だった気がするけど、この後最大心拍数まで達して登り切った。登り切ったら思わず「やったー」と声が出た(途中歩いたけどね)。
 この時点でどうやら先頭に出たらしい。今までに見たことがない濁った琵琶湖を見るライド。ここまでも川は見たことがないくらい増水しており、最初のPCまでは濁流鑑賞ライドであった。

ここが有名なサイクリストの聖地のすぐそばである。
 琵琶湖周りは途中から向かい風になって消耗した。近江八幡のところは、東進するときはいつも爆風向かい風である。そういえばこの辺りに知人が住んでいたなーと過去を懐かしく振り返っているうちに何とか向かい風区間を脱し、PC1のコンビニに到着した。1人で結構踏んでしまったので早くも足に負担がきてだるくなってしまっていた。この状態でもつのだろうか?

□ 岐阜っふー
 PC1では1500円ほど買い物して、25分滞在のゆっくり休憩であった。トイレも行く予定だったが行きたい感覚がなく、脱水気味と気づく。これから暑くなるので注意しなければ。
 PC1を出て間もなく、22~23km/hくらいからさらに加速中、道端からサイクリストに「すみませーん」と話し掛けられて停車。先にいた参加者だろうか、チューブでもなくなったのだろうか、と歩いて少し戻ると「どこに行くんですか~?」と。一般人だった。次は岐阜のPCだったよなと思いつつも、朝一の主催者さんの指差しが頭に残っていて「…東のほうに」というよく分からない答えをしてしまう。「○○のほうですか」と言われて聞き取れなかったが「はい」と答え、それなりの速度で走っていた人を捕まえて聞くほどのことだったのかと思いながら漕ぎ出す。以降、クリートのグリップが剥がれてクリートがうまくはまらなくなった。琵琶湖に出る前の小関越の押し歩きでグリップが傷んでいたのだろう。信号待ちで左足残しで右側を外して足を休めることができなくなってしまったし、はまった感じがなく感触はイマイチだし、立ち漕ぎと下りでずれないよう注意しなければならないし、残り500kmもこの感触で走らなくてはいけないのかとげんなりした。
 琵琶湖周りとは打って変わって、しばらくは追い風で足を休ませることができた。信号が多くて爽快感はないものの、路肩はそれなりに広さがあり交通量もほどほどで走りにくくはない。でも予想以上に暑くて、日陰が全くなくてやっぱり消耗した。飲料はVAAMのパウダーを多めの水で溶かして準備していたが、やたら飲料を欲してお腹がタポタポになりそうだった。この感覚は過去に経験していて、必要な塩分、浸透圧が追いついていない状態と判断した。暑さ対策としていくつかミネラル補給のためのジェルやらタブレットやら持参していたが、結局即効性があったのはツゥランのみだった。全然距離が稼げず50kmも行かないうちにコンビニで休憩。飲料をスポーツドリンク系に変更。ペットボトル水で水浴びする。お腹がタポタポで補給食が食べられなくなってエネルギー切れする可能性も考慮して、プリンを流し込んでおいた。

犬山城

坂祝(さかほぎ)通過(岐阜県加茂郡坂祝町)。まだ登らないけど祝ってくれるっぽい。
 水分補給と水浴びを兼ねた自販機休憩をもう1回して、日陰が恋しくて山の中なら涼しいのではないかと進んでいるうちに、夕方に入りやや気温が下がり、登りが始まった。思った通り山は少し涼しい。本格的な登坂前に、コースから少し離れた所に自販機を発見。もう一度水分補給と水浴びをして、次のPCまで約30kmを、750mlボトル1本が足りるようなペースで走ることにした。中山道は田舎だけど生活感があって、きちんと道が整備されていて、そのぶん車の通りもあるので注意して進む。あやめがきれいな池があった。写真を撮ればよかったな。
 PCまで残り10kmになってもアップダウンがあってかなり遠い。が、何とかPC2のコンビニに到着。追い風のおかげで登坂が増えたわりには時間に余裕があった。主催者さんも待っていた。この後、大平峠の迂回は予定通り通行可能とのことだ。

□ 諏訪ですわ
 ここから夜の峠越えに入る。がんばり過ぎると眠くなるかもしれないと思い、ゆっくりめの消耗しないペースで登った。迂回路はGoogleマイマップにルートを入れていたのでそれを確認しつつ、下り切るまでは青看板の表示を見ながら進んだ。満月が明るい夜で、気楽に下るならライト1灯と月明かりで十分だった。途中で、せっかく2灯あるのだし今使わないともったいないと2灯にしたら、より速く下れるようになった。ヒャッハー! …その結果、体が冷えてしまって眠気が出て来て、最初に見えたコンビニに緊急ピットイン…。自分でもバカだと思う。「寝るな!寝たら死ぬぞ!」状態だった。気温自体はそれほど低くはなく10℃程度で、経験的にはレインウェアを上だけ着れば大丈夫のはず。だけど着ても震えている。カフェラテを飲んで再出発するも、「寝たら死ぬぞ」状態にはカフェインは無力と分かった。ブレーキを強めに掛けながら下りつつ足を回して漕いで体を中から温める、というよくわからない行為をする。そうこうしているうちに標高が下がって下り切り、眠気も一旦はどこかに行った。
 飯田に出てもとのコースに合流。ここから地味にアップダウンがある、と参加案内には書いてあった。しかし、段々とダウンが少ないことに気づく(飯田市の標高は499m、伊那市632m、諏訪市761m)。伊那市で気温が下がったようで、また「寝たら死ぬぞ」の状態になり、コンビニにピットイン。またカフェラテを飲むが、先ほど同様、根本的にはしっかり漕いで体を温めるしかない。PC3の手前で次の登坂用に飲料を購入、未明に諏訪大社のPC3有人チェックポイントに到着。

 ツイッターとGoogleマップでスマホのバッテリーを消費したので、バッテリーとケーブルをドロップバッグから取り出しセットした。暗いこともあって意外と時間が掛かり、20分弱滞在して再出発。

□ おおぐんたま
 ここから最後の長めの登り、和田峠に向かう。せっかくなので、累積標高アップを狙って新和田トンネルの代わりに和田峠トンネルを通ることにした。4km・150m upほど増えるが、その後下り基調なのでそれほどタイムロスにはならないと判断。覚悟して登ったが勾配は緩く、それほど抑えなくてもよかったかもしれない。和田峠トンネルまでは涼しくて清々しい気持ちのよい朝だった。

が、ここから下りの道は少し荒れていて気が抜けず、さらに恐らく6℃まで気温が下がっており寒かった。たまらず道の駅和田宿ステーションで休憩したが、温かい飲み物の選択肢が少なく、気分ではなかったがコーヒー飲料を飲む。日が出てきたので日焼け止めも塗り直して、気を取り直して先を急ぐ。
 しばらく進んで目に入った最初のコンビニで朝食。ここで日が出てきたのでようやくレインウェアを脱ぐことができた。出るものも出たので調子はよいと感じ、実際次のPCまでは休みなしで行けた。
 望月温泉付近の丸タイル激坂で、ラインを読み間違えて2度目の足付き。

Google mapのストリートビューより。ここは登れたかもしれないのでちょっと悔しい。
 長野から群馬への県境を越える登りを過ぎると長い下りだった。山の中ですでに19℃で、これから暑くなることが想像に難くなかった。PC4のコンビニではまだ空腹感がなく、おにぎりではなく半熟卵2個と抹茶ラテを飲んで、水浴びして出発した。
 ここからは暑くてそれなりにしんどかった。都市部に入ると信号も多かった。

利根川。関東に縁のない私にとっては想像以上の広大さだった。
 暑いのでそろそろ水浴びをしようと思うが、左側かつゴミ箱のあるの自販機がなかなか見つからず、一瞬埼玉に入ってまた群馬になったところのコンビニで飲料補給と水浴び。大阪から群馬・埼玉に来たのでおおぐんたま。そして暑さに耐えながらPC5に到着した。

□ イバ~ルァキィィ
 コンビニに好みの飲料がなかったことを除けば、ここまでは順調だったと思う。ここから夕方まで、時々曇りになるが基本的には暑い。予報は28℃だったが、日が出ているときは30℃くらいだったのではないか。残り70kmくらいなのに、田んぼの中の吹きっさらしで煽られてなかなか進まない。ゴールが遠い。残り45kmで自販機休憩。水浴びの水、炭酸飲料、ゼリー飲料を購入するも、残念ながらあまり冷えていなかった。
 残り10kmくらいで筑波山あたり、5km・345m upが待っていた。体感としてはずっと10%以上が続いて、ただただ耐えた。ようやく下りに入ったらもうゴールは近い。途中の自販機で好みのドリンクを買って、ゴールのコンビニではチロルチョコを買った。目標時刻より30分は早い。ゴール受付のJR石岡駅まで10kmあるので油断はできないが、終電に一歩近づいた!


駅に向かっている途中に主催者さんの車が後ろからやって来る。認識してもらえたのでゴール受付もスムーズに。着替え、輪行準備、切符購入(かなり手間取って駅員さんにやってもらった)、夕飯購入を済ませたらあっという間に時間は過ぎるも、


日付が少し変わった頃には帰宅できたのだった。
 今回9つの府県を通過し、何だかお得な気分になった。1回走れば十分かなと思ったけれど、「次回、大平峠でお待ちしております」と主催者さんに言われてしまい、大平峠がすごく気になってしまっている。来年度になったらまた考えよう。[場所・大阪][場所・京都][場所・滋賀][場所・岐阜][場所・長野][場所・群馬][場所・埼玉][場所・栃木][場所・茨城]

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