今年から神戸発山岳ブルベはVT (バーリトゥード)からGara Pagos (ガラパゴス)に変化(へんげ)。新年早々の300km・Stage. Zero(GaraPagosゼロ)は後半から調子が戻り完走。200kmで累積標高5000m以上となるGaraPagos 1は、長距離耐性より繰り返しの瞬発力が必要なコースで、私の苦手とするブルベになる。が、半分ほどは去年の200VTと同じだったし、来たばかりの新しいクロモリロードバイクでどこまで走れるのか試してみたくエントリーすることにした。
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過去記事 完走!!@BRM321神戸200VT |
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<目次>
□ 準備
□ 不調
□ 春分の日≠春
□ 所感
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□ 準備
今回のコースはこちら。
今回の準備は限りなくナッシングであった。ブルベ以外でロードバイクを乗る機会がほぼない私が、この類のブルベの前は自重筋トレとZwift (EMILY’s SHORT MIXやTHE GORBYなど短時間で済むもの)でトレーニングらしきことをする。最近子どもがなかなか寝ないので夜の可処分時間がほぼない上に、風邪を2回連続してひいて半月ほど体調不良だった。でもブロンプトンでの自転車通勤の時間は変わらなかったので、それほど調子が悪い感じはしなかった。
天気は全体としては0~10℃くらいで、六甲山の体感は-7℃、雨は降るかもしれないとの予報だった。登りが多いので上は暑くならないようにモンベルのモンベル サイクルドライシェル(品番#1130486)を選択。別の天気予報では午後は雨予報で、京都の北のほうでは雪になるかもしれないとのことだった。るり渓では雪が舞うかも?まあこの季節は積もることはないし、漕ぎ続けていたらめっちゃ寒いということもなかろう、と思っていた。10℃に合わせたウェアで、寒かったらレインウェアを着る。足腰には冷え対策としてスポーツバルムのレッド3(公式製品サイト)を塗ることにした。
□ 不調
病み上がりなので体力温存のため、前泊はせずに当日家からタクシーで荷物を預ける阪神電鉄 春日野駅に向かった。うちの地域はタクシー配車アプリのGOタクシーがうまいことマッチングしてくれる。運転手さんは高額運賃でウキウキで接客してくださるが、もうちょっと寝たかったな…。窓から時々稲光が見える。”山のほうは台風並みの天気予報だから気をつけて”と、お気遣いいただいた。
雨は降るかも、どころかタクシーに乗るときからスタートまで雨だった。スタート地点に到着すると、VTシリーズからのなじみの顔、イツメンと言ってもよいりくらいまーさん、名刀ムラマサさん、さこっちさんがおられてご挨拶&新車披露。ブリーフィング後は速やかにスタート。
まもなく雨はやんだが、まだ降るかなと考えていた。一方で、最初のフォトチェックの再度山に登る前に、信号待ちの間にレインウェアを脱ぐりくらいまーさん。私はそのまま一足先に進む。
いざ再度山の登りになると、新車になってギア比は落ちている分、進みにくいと感じた。でも足が早く回るわけでもない。以前のカーボンロードのときのように足を大きく回すイメージで回してみたり、ブロンプトンのように後方11時の位置からチェーンに沿って足を動かすイメージで漕いでみたりしても、進む感じがない。しんどくないけど足が動かない。途中でりくらいまーさんが、”あれ?こんな手前で追いつくの?”という顔をしながらパスしていく。その後、レインパンツのずり落ちで漕ぎにくいのもあって、止まってウェアを脱いでいるとムラマサさんがパスしていく。再度漕ぎ始めると、何だか右腿裏と右脇腹に軽い痛みが出始める。これは筋力が強度に負けているときの痛みだ…。呼吸が苦しいとは思わないが、鼻水も溜まっていてうっとうしい。

9.3km 再度公園入口
レインウェアを脱いだ時間を差し引いても、普段より7分以上遅い。これはまずい予感がする。
この先の下りはディスクブレーキと若干のフレアハンドルでブレーキングは楽なものの、ステム長が短くなった影響でハンドルが切れやすくて怖く、スピードを落としながら下ることになった。下りで足の痛みを回復させながら走る。タイムを縮められる区間だが、どうだろうか。

38.0km 吉安上公民館
目標の8分遅れ。遅れが回収できない。またこの辺りからリア変速の中間、気持ちよく走れる速度域での変速調整が不調になる。一気に走ったので初期伸びが出たらしい。
つかぬ間の平坦区間は追い風だったようで、かなり楽に飛ばせた。この後だったか、大型トラック同士がすれ違い困難になっていて、道路が詰まっている状況に出くわした。急いでいるときに限って…。後続の参加者の機転で抜けることができたが、どちらのトラックの運転手も”自分は悪くない”という顔をしていてさらにうんざりした。
永澤寺(地名は永沢寺(えいたくじ)、お寺は永澤寺(ようたくじ))に向かう道は、去年大変だったのを覚えていて、何とか心が折れずに足付きせずがんばれた。ギア比が軽くなったおかげはあると思う。

63.3km 永澤寺 看板
ここまで去年と同じコース。去年より遅れが13分に広がっていて、時間内完走は厳しいと思った。とりあえず次のコンビニ休憩を省き、大野山到着の時間で判断しようと思った。自販機で休憩し、トイレで鼻をかみたいと思ったがトイレは締まっていた。なぜこの日ティッシュを持ってこなかったのか…。
82.1km地点のローソン篠山安田店を通過したのは予定の7分遅れ。この先の補給場所は85km先のコンビニPCまでしないつもりだったので賭けになる。一応、ここをスキップすることも見越して手持ちの補給食で何とか足りるよう準備してきてきたし、飲料をトイレにあまり行かなくて済むというACTIVIKEのグランフォンドウォーター(公式製品サイト)にしていたのでそのまま進むことができた。
□ 春分の日≠春
丹波篠山から京丹波に抜ける県境という名の峠(後から調べると中山峠という名があった)であられに降られる。数ミリの丸い粒がサイコンの上でコロコロしていた。ギア比は十分に小さいはずだが、登っていると左下腿の外側に痛みが出る。この痛みが続くなら後半登り切れないな…。DNFが頭をよぎる。次のチェックポイントは船坂親水公園。川のそばなら下りがあるはずだ、と信じて登る。峠を過ぎて下ると足の痛みはなくなった。まだ走れそうだ。

101.2km PC1 船坂親水公園 看板
何とかグロス17m/hには回復したが、ここからは昨年600VTで長々と苦しめられたるり渓が待っている。貯金が足らなさそうだ。ここで600VTの途中でお話ししたKawaさんと再会、何となく厳しそうだという会話をした。
るり渓に入っても足が動かなくてペースは上がらない。重いギアを回せない。ちまちま登っていると、13時前、るり渓の1つ目の頂点あたりでぼた雪が降り始める。”分かってるんだよ、積もらないって”と思いながら漕ぎ続ける。

…本当に?
本来写真なんか撮っていないで漕ぎ続けないといけないペース。諦めの気持ちが芽生え始めていた。
2つ目の登りの途中から、顔が痛くなるほど冷たくて強い風が吹き付けるようになる。ヘルメットのシールドは曇り、外して頭上に装着していたらそこに雪が溜まっていた。アイウェアの外側にベチャベチャの雪が付着して視界は不良、サイコンは雪まみれで画面が見えなくなってしまった。さすがに諦めの境地。登りの後で見えた電光の気温表示は-3℃だった。

後ろから来る車や対向車から怪訝そうな視線を感じる。
るり渓に一度突っ込んだら、大阪民はそのまま能勢まで進むしかない。

国道173号線に抜ける道では道路に雪が積もっていた。凍ってはいなかったので車のタイヤの跡を通れば普通に走れた。雪道サイクリングの経験が役立ったようだ。ディスクブレーキのおかげもあって、怖がらずに安全に下ることができた。

条件が悪く速度が上がらないので、173号線に出たところで、”雪道サイクリングを楽しんで帰るぞ!”と清々しい気持ちでDNF連絡をした。主催のKさんは時期的にもこの天候でも気が気でなかったのではないかと思うけど、ハイテンションな電話をしてしまった。
しかし、一旦停まると寒さが襲って来る。ここから8kmほどはスピードの出る下りだが、交通量が多いので油断できない。-2℃の表示をどこかで見ながら一気に下る。ディスクブレーキ様様だ。下ること20km、能勢電鉄 畦野(うねの)駅でガタガタ震えながら、温かい飲み物で暖を取りながら輪行し、春日野駅の荷物の回収に向かったのだった。その途中で、六甲山からの下りが凍結し始めたため、ブルベが中止になったことをメールで知った。
後ほどTwitter(X)を見てみると、速い人も遅い人も、それぞれの場所でみんな平等に雪に翻弄されていた。先の大野山で下れなくなった人、通行止めになって登れなくなった人、一足先に能勢でDNFするも歩いて下っていた人、るり渓で彷徨い私のように進むしかなくなった人…。速い人のほうが選択肢が多く有利となるブルベでは珍しいパターンだった。皆さんお疲れさまでした。
□ 所感
ブルベ自体が中止になったので黒星にはならなかったものの、初っ端からDNFのタイミングを探るような走りになってしまっていて、新車で気持ちよくというライドにはならなかった。ギアが全体的に軽くなったところに、風邪の影響で脚・足腰の筋力が落ちて、本来なら回せるはずの重さのギアを回すことができず、タイムが遅くなったのだろう。また、ライド中は口呼吸が多いので鼻水はあまり関係ないと思っていたが、思っていたよりペースに影響していたようだ。
コンビニでの補給はせずに進んだが、コースの強度から考えると補給が不足していたようにも思う。もし後半走り続けていたら、どこかでさらにガクッとペースが落ちたかもしれない。補給時間を削っての貯金稼ぎには限界があるので、やはりきちんとトレーニングしないといけないなと思った。
あと、いくら自分に合ったオーダーフレームだからといって、ポジションも特性も変わっているのだから新車でほぼいきなり200km走ろうとしてはいけない(反省)。
こうして、やや不安が残るかたちで10日後のフレッシュ(Flèche)に臨むことになった。




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