10月下旬に差し掛かり、ブルベ界では年度末が近づき、Twitterはもう来年度・11月からの話で盛り上がっている。―そんな時期、まだSR獲得を懸けた600kmの認定が残っていた。私にとって今年度最後のブルベである。
BRM100周年記念ブルベ200km、茨木発出雲着の400km片道ブルベに続いて、3週連続で走るのは、本当は5月に開催予定だった川西600。家から自走圏内の兵庫県川西市発の、累積標高は3000m程度の足にやさしいと謳われる600kmブルベだ。県境をまたぐ以上、期待しているほどのフラットなコースではないと心では分かっているが、登りが少ないのはありがたい。それだけで完走の見込みが高くなる。
□準備
600kmのときは普段350kmをめやすに宿泊している。が、今回は苦手な登りが少ない分、体力とタイムに余裕ができると判断し、宿無しで走ることに挑戦することにした。数ヶ月前の夜出発の300kmブルベのとき、直前の睡眠時間が稼げなかったにも関わらず、走行中眠くなることなく帰路の電車でも寝なかったので、以前より睡眠不足に強くなっているという自信があった。宿泊のことを考えなくて済むので荷物は400kmのときよりむしろ涼しくなった分ボトルが1本減り、自走するので輪行用の履き物すらなくなり、もしもの仮眠に備えてアルミのエマージェンシーシートを追加したくらいだった。
天気は、急激に冬へと近づいていた。気温は10~22℃と予想し、秋用の服装に変更した。具体的には、夏用の服装に薄手の長袖ジャージを重ね着、レッグカバーをレッグウォーマーに変更、指切りグローブをフルフィンガーに変更といったところ。予想以上の寒さに備えて、防寒着代わりのレインウェア上下、防寒テムレスを準備した。寒さより暑いのが苦手なので、ヘルメットは軽量と涼しさ重視でいつものKabutoのFLAIRにした。…これは途中で後悔することになる。日が近づくにつれて、どうやら福井あたりで暴風になるらしく、雨も降りそうだという情報がTwitterで流れてきて、DNSする人も少なくなくてさみしかった。
□自走でスタート
鬼門の早起きをクリアし、スタート地点まで自走。ウォームアップにちょうどいいくらいの距離である。受付するとなぜかDNS扱いになっており、まさかのブルベカードなしでの出走(~_~; いつもはコンビニでレシートをもらったらその時点で記入してもらい忘れがないようにするが、それがなくなってしまうので、レシート受け取りを絶対忘れられない…(汗) Twitterのフォロワーさんが見送りに来られていて初顔合わせするなどして、7分ほど早めにスタート。オーバーペース気味で少し速い人について行ったが、登坂で置いていかれるいつものパターンとなった。
□足にやさしい?
ルート上最も標高が高い丹波篠山(ささやま)の西峠は12℃くらいだった。登坂中に小雨あり。

この後少し下ってまた登り返しもあり、足にやさしい感じはすでになかった。
以前のブルベではスルーした篠山城。


JR谷川(たにかわ)駅前で丹波竜のオブジェを見る。

68km地点、丹波市のコンビニPCに着いたときは、自分が思っていたより踏み過ぎたのか、めったに痛むことがない右足の膝上・裏側が痛くなっていた。休憩して走り出したらいつの間にか治っていたが、今年はブルベの序盤にどこかしら足に痛みが出ることが多い。平日の自転車通勤の影響と思うので、今後どう対策していくかが悩ましい。
ここからは予報に違わぬ向かい風であった。PCを出てしばらく単独で走っていたら数人のトレインに追いつかれたが、少しだけ後ろにつかせてもらえて休めた。イコール、信号待ちからの再出発で置いて行かれたということ…つまりは瞬間的なパワーの不足である。悔しいけどそれが実力なのだ。このそれなりの強風、後で知ったことだが、木枯らし一号だったらしい。ヘルメットのチョイスは、軽量・涼しさ重視でではなく、向かい風になると分かっていたのだから抵抗の少ないAero-R1+シールドにすればよかった。
福知山に入る山は適度な登りで、風も遮られていて走りながら少し休むことができた。

PC間が80km以上あるので途中で休むつもりだったが、そこは足にやさしいだけあって、特に休憩はせずにすんだ。でも福知山を過ぎてからも、油断していると時々向かい風が襲ってくるのだった。


舞鶴に到着。
150km地点、舞鶴のPCで遅めの昼ご飯。このときは少し晴れていて、コンビニ飯でも海をチラ見しながらだと爽快な気分で特別感があった。

パノラマ撮影なので歪んで変な写真だけど雰囲気を伝えたい。
□足にやさしい!
午後は気温が上がっても16℃までで基本曇り。時々晴れて暑さを感じるも、重ね着した長袖ジャージを脱ぐほどではなく、風が吹くとほんのり寒かった。基本平坦だったので、次のPCまであまり苦労はしなかった。
いつの間にか信号が縦の雪国仕様になっており、235km地点のコンビニPCに到着。早めの夕飯を摂った。

火力発電所の”鉄塔”がかっこよく思えて撮ったもの。
この時点でお尻に少し痛みを感じ始めていたので、保護クリームを塗りなおした。先週の400kmで擦れたお尻の皮膚が治りきっていなかったのだ。足の指も靴に当たる部分が少し痛く、保護クリームを塗った。若干寒くなってきていたので、レインウェアを下だけ着て、先週の充電難民になったことを反省して、早めにスマホの充電を始めた。などなど、合計25分の大休憩となった。PCに入る前にやることを決めてはいるが、もう少し短縮したいところである。
ここからは日本海の沿岸沿い。釣り人がテントを張っていたり、居酒屋などが営業していたりと、日常が少し戻ってきているように感じた。越前海岸までは予想に反して追い風だったように思う。順調に飛ばすことができた。雨も降らなかった。

この越前海岸のモニュメントを過ぎて280kmくらいから向かい風になったが、強さも持続性もPC1~2の間のほうがひどかった。途中、生足を出しているランドヌールを見たΣ(゜ロ゜;) 寒さは大丈夫だったのだろうか。
312km地点、ほぼ中間地点のコンビニPCへ。他の参加者は、もう少し先の福井市内で泊まる人が多いようだった。どこに泊まるか聞かれたので”泊まらないで走る”と答えると、「このペースなら大丈夫でしょう」と背中を押してくれたおじ様。走り終わってから振り返るとその言葉に特に根拠はなかったのだろうと思うのだけど、こういう前向きに走り続けられる言葉はありがたかった。
□まさかの…
今回はガーミンを最初から省エネモードで使っていたが、登坂区間になるとヒルクライムモードに強制的に巻き込んで来て、表示がoffになっている分だけ案内が遅れてナビ不十分になる。次のフォトチェック、永平寺に行く途中でなぜか逆走させられ、短い距離ながら登坂をやり直しさせられる区間があった。
えっちらおっちら永平寺に登り、写真を撮ろうと奥まで進んだ。が、参加案内に載っていた石碑が見当たらない。前照灯を外してぐるぐる歩き回ったが見つからない。普通そんなに分かりにくい場所がポイントになることはないので焦る。時間的に後続が来る見込みが低いので、仕方なく永平寺と書いてある別の石碑と自転車を一緒に撮影した。

後から調べても、石碑がなくなった理由はよく分からなかった。
□トンネルづくし
永平寺が最高地点かと思ったら、下った先からその後のトンネルまでに激坂があった。

単なるトンネルだけど、琥珀色に見えてきれいだったので写真に撮ってみた。深夜のテンションってやつですね。
どこでか見たかは忘れてしまったが、深夜~未明の気温は電光表示板で3~6℃だった。ほどよい冷えのせいか、先週の400kmの疲労なのか、いつもよりも早く眠気が早く来た。鯖江市内のコンビニで予定外のコーヒー休憩を取り、レインウェアの上も着た。397kmの通過チェックまではそれで問題なく、そこではコーヒーを飲まなかった。
リスタートしてしばらくするとまた眠気が出現。コーヒーを飲むべきだったと後悔していると、福井県道207号線で鹿が大量発生!一気に目が冴える。横から体当たりされたら…せめて軽傷で済むようにと徐行で進む。草むらがガサガサ音を立てていたのも、鹿だったと信じている。鹿地帯を過ぎると今回のルートの素敵ポイントである廃線跡トンネルに突入。中は暖かい分、アイウェアが曇って見にくくなるし、時間は未明なので感動が薄かった(なので写真を撮ってないw)。日が出る頃に、何人かでキャッキャウフフもしくはわいわいがやがやしながら通るべき場所だと思った。ルート設計的にもそうだろう。
トンネル群を抜けて敦賀市内に出たところのコンビニで休憩し、なんとなく寒かったのでグローブを普通のフルフィンガーから防寒テムレスに交換した。ここでも眠気が一旦治まっていたのでコーヒーを飲まずにリスタートしたが、結局ここから眠気でなかなかペースが上がらなかった。仮眠しようと思うほどではない眠気はちょっと扱いが厄介だ。そこに来たのは、琵琶湖への登竜門(?)国道8号線。足にやさしいとは言えない結構な登り。登坂車線が2回出現。なのに、その間も登り(プンプン!)。登坂が済んだらすぐに気分転換にコンビニに転がり込んだ。

日の出前の琵琶湖を見ると、速度は少し復活。旧賤ヶ岳(しずがたけ)トンネルを通れたのはよかった。思ったほど登りがきつくなくて、写真を撮らずにスルーしてしまった。
□琵琶湖
470km地点のコンビニPCに着いた時には完全な朝だった。前半の向かい風でなけなしの体幹を使ったからか、ここまでの雪国特有の凸凹を処理し損ねていたようで、手の平が痛くなっていた。お尻もやはり少し痛い。先週のブルベの影響もまだ残っていた。そして夜間走行は思いのほか寒かったのだろう、気づいたら首をすぼませるようになっていて、姿勢が悪くなっていて肩・首の凝りもいつもよりひどかった。が、この先は日が出てもう暖かくなるので防寒の類は全部脱いだ。
琵琶湖沿いは飛ばせるかと思ったが、やはり眠気で速度が上がらず。でも20km/hちょいはキープといったところ。いわゆるビワイチとは逆方向、地元の人たちは午前中は何かの用事で急いでいるのだろう、自転車に配慮なく飛ばして通り過ぎて行く車がほとんどで、怖くて全く楽しくない。時々車の圧力に疲れて歩道へ入るも、歩道は凸凹の突き上げが強くて続けて走るのはしんどい。将来的には改修されるようではあるけれど、もうしばらくは琵琶湖に来たくないと思いながら、淡々と距離を消化していった。
琵琶湖南西に差し掛かると、湖畔にたくさんのテントを見かけた。キャンプもする私、琵琶湖のキャンプ場にも行ってみたいと思っていた。…が、人多すぎやろ。行くならよく計画する必要があるようだ。
琵琶湖を抜ける瀬田の唐橋の端は激坂だった。横断歩道を使ったので今回は実際には登っていないが、機会があれば今度は挑戦してみたい。
以降は瀬田川沿いを走って宇治、久御山のPCまで。立木観音が途中で気になったがスルー。ここもいつか機会があれば寄ろう。道は走りやすい山道だったが、眠気でペースが上がらないのと、爆音のバイク、飛ばす車がいて楽しくない。宇治~久御山も曜日のせいか時間帯のせいか車の運転が荒い。車の動向に気を付けて進んだ。
□帰路へ
最後のPCからゴールまでは30km。国道171号線(いないち)は時間帯的な問題だと思うが、車の圧力がひどかった。”安全第一”のステッカーを貼った車が、執拗に幅寄せしてくるのは何かの冗談だと思いたい。知っている道なのに、いや、知っている道だからこそだろう、非常~に長く感じた30kmだった。
ゴールはこのコースで初めてイートインが使えるコンビニだった。私は自走ですぐ帰れるので利用はしなかったが、たまたまかもしれないがありがたい設定である。ゴールと同時にガーミンを確認すると、省エネモードで使用した結果、バッテリーは17%残。使っているうちに徐々にバッテリーがへたっていくだろうけど、条件が悪くなければ600km・40時間近くもちそうである。
ゴール受付はないので即帰宅。家にはスタートで受け取れなかったブルベカードが届いていた。1日で到着したんだねΣ(゜ロ゜;) 風呂と仮眠、夕飯後、フォトコントロールの写真をアップロードして、ブルベカードを作成して一日を終えた。
□振り返り
こうして、2021年もSRを獲得することができた。今年早々に走るはずだった200kmは延期の末DNS、最初に走った200kmは逆走DNFという何とも言えない始まりだった。それから初めて本格的に経験するN2BRMの200km、ちょっとしたグラベルありの300kmを経て勘を取り戻し、荒天の400km、初夏からやたらと早く来た木枯らし一号の日にまで延期された600km。最後は1ヶ月で1200km走行。よくがんばったと思うけど、来年はもっとスムーズにいきたい(^_^;
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