キャンプのたびに自分なりに目標を立てているのですが、グラベルバイクでタイヤを太くすれば雪道も走れると知って、今年は雪道を走って雪中キャンプに行くことに挑戦するつもりでした。昨年の秋から少しずつアイテムを集め、まずは輪行で駅からさほど遠くなくて平坦路で行けるキャンプ場に目星を付け、2月に実行するつもりでした。それはそれとして、今年の初キャンプには、チャイルドトレーラーをけん引しても家から自走で行ける大阪府豊能郡豊能町のゴリラフィールドとよのキャンプ場(GORILLA FIELD TOYONO)を予約していました。昨年9月にオープンしたばかりの新しいキャンプ場で、大阪北摂の定番のヒルクライムルートにあります。
去る1月下旬、めったに雪が積もらない大阪平地部にも寒波がやってきました。道路が雪で走れないなんてことまでにはなりませんでしたが、ところどころ道が凍っていたり、シャーベット状の雪があったりする状態で、32Cのグラベルロードで楽しく通勤しました。ちょうどその週末がゴリラフィールドでのキャンプでした。

箕面駅側から箕面の滝、高山方面へと府道4号線を進み、国道423号線を北上するルート。Twitter情報で雪が残っているのは分かっていましたが、雪が増えている様子はなく、押し歩きでも進めない状況なら当日キャンセルにしようと予定通り行くことにしました。ちなみに、豊能町は寒いもののそれほど雪が降るイメージはない地域です。
ゴリラフィールドは現在進行形で進化中のキャンプ場です。最新情報・問い合わせはインスタグラム・DMで確認を。
インスタグラム
利用期間: オールシーズン
料金: インスタグラム参照。2歳以下無料。
サイト料+入場料+駐車料(自転車はバイクと同料金)
宿泊: 15:30~翌10:00
予約: インスタグラムのトップページから(当日支払い・現金)
*キャンプ場内は一方通行。
*オートサイトは1台目無料。
*サイトへの自転車持ち込み可。
設備:
・黄色いスクールバス(受付)、ゴリラの像がシンボル
・コインシャワーあり(現在は寒波により故障中)
・自動販売機あり
・ごみは持ち帰り (捨てる場合は300円)
・トイレの入口に扉あり(水洗、温便座、きれい)
・ペット同伴可サイトあり
<周辺施設>
・ファミリーマート豊能町余野店(旧通称余野コン)…2.6km (場内から一方通行で)
・ローソン 豊能町余野店…3.2km
・EMMA COFFEE…2.8km。サイクルラックありサイクリストに人気。
・とよのコスモスの里…期間 9月中旬~10月下旬。徒歩5分。有料。
・能勢妙見山…5.2km
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<目次>
□ 雪中キャンプはウェアが重い
□ 雪中ヒルクライムは歩いて下る
□ 雪中キャンプは濡れない
□ 熱しにくく凍りやすい
□ 雪はとけると…
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□ 雪中キャンプはウェアが重い
グラベルロードの仕様はデフォルトのまま特に変えず、タイヤは32C(グラベルキングSS plus)で。チャイルドトレーラーのほうは16+ホイールキットというのがあるのだけれど、変えるのに勇気がいるごつさで、ヒルクライムでは重そうなので普段通りの20インチホイールのままで。
テントは私の中では冬用・2人用と位置付けているアライテントのエアライズ2。子どもと一緒ではまだ焚き火で暖を取るところまでできず、前室でご飯を作ってテント内で食べているので、前室が広く確保できるDXフライシートを使っています。前室に換気口がついていて、前室で火を使うことを想定されているようです。

アライテント エアライズ2 DXフライ仕様 2人用 (Amazon)・(楽天市場)
また、手持ちの軽量タープを低めに張って、保温性を少しでも高められるような準備をしました。スノーペグも持って行ったのですが、豪雪ではなかったので不要でした(地味に重かった…)。どれくらいの厚さ、どんな雪質で必要なのか、今後要勉強です。
マットはエバニューのFPmatをいつも通り2枚+ニーモ(Nemo)のテンサー インシュレーテット レクタングラー(64cm×183cm・R値4.2)+ショートマミー(51cm×122cm)の2セット。寝袋はENLIGHTENED EQUIPMENT (ウェブサイト)のキルトを今回初使用。春のうちに注文したもので、Revelation Custom (950FP、リミット-17℃、ショート、Xワイド)という自転車キャンプで子どもと一緒に寝るためだけにオーダーした特別なもの(=サイズがヘンテコでフリマに出しても買い手が付かなさそう)です。モンベルの女性用ダウンシュラフ#1より100gしか重くありません。持った感じ、「めっちゃ軽!」ってなります。付属のコンプレッションバッグもあるのですが、今回は試しにモンベル#1のコンプレッションバッグに何とかぎゅうぎゅう詰めにして持っていきました。最低気温は-4℃の予報で、ハクキンカイロのジャイアントとスタンダードも持って行きました。
キャンプ場に着いてからの防寒着は、普段のダウンウェアより一段階上げて、上はモンベルのイグニスダウンパーカ、下はライトアルパインダウンパンツに。雪が降る予報ではなかったので、レインウェアは持って行きませんでした。ソックスはシルクの5本指ソックスにモンベルのメリノウールソックスを重ね履き。シューズは雪用でよいのがまだ見つかっていなかったので、手持ちのゴアテックスシューズ モンベルのトレールウォーカー BOAの旧型にしました。雪用のを選ぶに越したことはないのでしょうが、足の中が濡れることもなく、滑ることもほとんどなく、性能のよさを感じました。手袋はインナーにおたふく手袋JW-144 (スマホ対応)、アウターにはテムレス 02Winter (カフ付き)を使いました。
子ども(2歳児)はモンベルのインナー上下(ジオラインM.W.)を着せた上で、起毛素材の服を着せ、防寒着は雪遊び用のモンベルのパウダーカバーオールBaby’sの90を用意。モンベルの子どものウェアは大きめに作られていて、普段着はサイズ100に移行しているのですが、100では大きすぎたので90を買い直すことになりました。ソックスはメリノウール チューブソックス Baby’s、16cmまでなのですが、ちょっときつくなってきているようで脱げてきてビックリ( ゚Д゚) シューズはパウダーブーツ16cmでちょどいい感じでした。パウダーカバーオールを着せた状態でブーツを履かせるのが最初はかなり難しくて、雪国の親御さんたちはこれを毎日しているのかと思うと頭が下がります。手袋はパウダーミトン Baby’sの旧型と思われるサーマルミトンBaby’sを使用。少し大きめでしたが、遊びたい物が持てないと言って嫌がるほどではありませんでした。
□ 雪中ヒルクライムは歩いて下る
今回の走行ルート、20km余り・500mちょいupです。雪道のヒルクライムは歩き想定で、平坦・下りもあるのでグロス10km/h計算と見積もっていましたが、実際には落とした手袋が見つからなかったり、雪道の下りが押し歩きになったりで9.6km/hくらいになりました。雪道の現実は厳しい…。
日中は日が出ていたので寒くなく、ヒルクライムでは少し汗ばむ程度でしたが、箕面の滝辺りから雪が舞い始めました。それより上のほうの路面は、凍結はしていないものの、雪をタイヤで潰すとズルっと引っ掛かりが抜けてバランスを崩すことがありました。登りで止まってしまうと、漕ぎ出すときに雪が潰れてタイヤが空転(?)して、発進することができませんでした。最低限でも、自転車に乗ってから漕ぐ、ということができないとダメでした。最近そういう練習してないからなぁ…(反省)。チャイルドトレーラーが後ろにあるのがプラス2輪の役目を果たし、バランスを崩しても安定性があるため転倒しそうになることはありませんでした。こんな天気でもロードバイクらしきサイクリストが、タイヤの種類や太さまでは判別できませんでしたが、何人も登っていくので驚きました。



勝尾寺と高山の分岐点。なぜか2℃の差がある電光の気温表示板。
ここの写真を撮るために、iPhoneにはグローブモードがないのでインナー手袋も外したのですが、それをうっかり落としてしまいました。この手袋が灰色で、潰れた雪と同じ色で自転車のすぐそばにあるはずなのに全く見つけることができませんでした。停車するとメガネが曇ってしまって視界が悪くなるのも一因なのですが、派手なリボンでも縫い付けないといけないなと思いました。モンベルの製品がやたらビビッドな色なのが理解できました。手袋を見つけてくれたのは、ノリノリ快適で私たちを追い越して勝尾寺まで走ってまた下って来たと思われるMTBerでした。Thanks!
箕面市と豊能町の境目までの登りは半分くらい押し歩き、しばらくはゆるゆると漕いでいましたが、また箕面に入って国道423号線に出る道はかなりの下り。この辺りの主要な道なので車もそこそこ通り、タイヤの跡が凍結していて凸凹していたので押し歩きました。少し乗れる区間もありましたが、ディスクブレーキでギーギー音を立ててドキドキしていました。子どもは出発してから間もなく昼寝し始め、走行中の衝撃や音では全く起きませんでした。
□ 雪中キャンプは濡れない
キャンプ場の手前のコンビニで買い物とトイレを済ませ、キャンプ場までもう少し登っていきます。

看板があるので迷うことはありませんでした。



翌日の写真も混じっていますが、黄色いスクールバスが受付の目印になっています。

キャンプ場のシンボル、ゴリラの像も雪をかぶっています。自動販売機があるのが助かります。
こちらにはオートサイト、フリーサイト、森林サイトがあり、今回は森林サイトを独り占め(2人占め)して泊まりました。雪がふかふかで自転車押し歩きでも進みにくいので子どもに降りて歩いてもらおうとしましたが、トレーラーのカバーを開けて冷気にさらされて、昼寝から起こされた子どもは憮然とした顔をしていました。雪が好きなはずなのに「降りない」と言うので乗せたままサイトまで引っ張りましたが、落ちこぼれのトナカイのような気分でした。
管理人さんにサイトの案内ついでに雪を踏み固めるのを手伝っていただいて設営開始。そのうちに子どもがやる気を見せて、トレーラーから降りてポールを持って行って遊び始めました。

“電車”だそうです。お~い、返してくれ~。
設営中に雪が降って来ましたが、森林サイトのおかげでたくさん浴びずに済み、また雪質がさらさらしていたのでウェアは濡れませんでした。パッパッと払うだけで落ちました。こういう雪は大阪では本当に珍しい。


テントのフライの裾を雪で埋めるとスカート代わりになるという小技を聞いたことがありますが、テント内に浸水する気がしてチャレンジする勇気がありませんでした。もう少し具体例を調べてみて、次の機会には試してみたいです。今回はタープでできる限り防寒することにして、手持ちのタープの対角線を前後にして斜めに張りました。ポールは手持ちの物で一番短いエバニュー(EVERNEW) アルミ シェルターポール、112cmを2本持参。凸部分がすごく短くて段差が少ないので、普通のループはすぐに上にも下にも外れてしまいます。
【ゆる募】
この形状のポールで上にも下にもロープが抜けにくくなる方法を教えてください🙏 pic.twitter.com/NcdsQ6TrfU— 門川彩雷 (@ayalalmngl) January 3, 2023
皆さんどう使われているのか謎。ひとまず、プラゴミで下に抜けないスリーブと、ワインのコルク栓を半分に切って中央をほじくったポールキャップを自作してみました。


風が強ければアウトと思いますが、今回はほぼ無風だったので役目を果たしてくれました。
設営が済んで動きが少なくなると寒くなってきたので、ハクキンカイロに点火してダウンジャケットを着ました。まだ0℃くらいだったと思いますが、ライターの炎が弱く、寒いと点火しにくくなることに気づきました。

子どもも寒がらなかったので、おやつは外で食べることにしました。ポールに掛けているライトは、フロントライトのCATEYE Volt400をモンベルのクラッシャブル ランタンシェードに入れて吊るしたものです。ここにライトがあると、前室で調理するときに明るくて便利でした。テント内の照明にはソーラー充電式の簡易ランタンのCARRY THE SUN(キャリー・ザ・サン)を使っています。サドルバッグの上に取り付けて走行中に充電させるのですが、こういう雪の日は降っていなくても曇りなのであまり充電されません。連泊だと光量が数日で落ちてきそうです。

CARRY THE SUN(キャリー・ザ・サン) (Amazon)・(楽天市場)

おやつが済んだところで、夕食の水を汲みに炊事場に行き、ついでにトイレにも寄りました。ゴリラの像の側のわき道を下って行った所に炊事場とトイレがあります。トイレの入口には扉があり、夏でも虫が入りにくい構造になっています。個室は子どもと一緒に入れる広さでした。すぐ隣にはシャワー室が男女合わせて4室あり、寒波で壊れていたものの、高規格キャンプ場の雰囲気でした。炊事場はお湯は出ないものの、蛇口はたくさんあって人が多くてもそれほど混み合わなさそうでした。ちなみにこの写真の奥に見える薄緑の屋根の建物は隣の施設の体育館で、この日は夕方までボールの音がしていました。22時まで使用できる施設なので、音が気になる日もあるかもしれません。
□ 熱しにくく凍りやすい
夕飯はお湯で戻すパスタとご飯ものが主食。さらに体を温める物としてポタージュスープと冷凍餃子入りみそ汁。コンビニで買ったパンや果物やチーズもあるにはありますが、お湯がないと始まりません。ガスは寒冷地用のウルトラガスを持参していましたが、バーナーが点火しない。そういえばさっきライターの火が弱かったことを思い出し、寒くて点火しないのだろうと判断。ライターで無事点火できました。今後はマッチも持っておくべきでしょうかねぇ…。一番おいしかったのは冷凍餃子入りみそ汁でした。
食後に炊事場で鍋を軽く洗い、ついでにトイレに行って出て来ると、鍋底に氷が張っていました。また、ポタージュを入れたコップの汚れが落ちず、よく見るとテントの外に置いている間に凍り付いて、水で軽く流したくらいでは落ちなくなっていました。服を着込めばそれほど寒さは感じなかったので、こういうのを見て零下を実感しました。
テントに戻って寝る準備をして、子どもを小さいほうのマットに寝かせ、私はしばらくインナーグローブのおたふく手袋JW-144を付けたままスマホを見ていました。Androidはグローブモードで問題なく操作できるのに、iPhoneにはないのが不便ですね。将来的にもっと寒い経験をするかもしれないので、インナーグローブを付けたままいろいろ作業をする練習もしましたが、面ファスナー・ベルクロのグッズが多くてグローブがくっついてしまって外してしまうことが多かったです。別のインナーグローブを探したり面ファスナーの多用を避けたり、何か対策が必要だと思いました。
□ 雪はとけると…

R値4.2のニーモ(Nemo) テンサー インシュレーテッドでも地面からの冷えを感じましたが、一度眠りについてしまえばキルトのおかげで快適に眠れました。最低気温は5時台で外が-5℃、テント内0.8℃くらいでした。結露を心配していましたが、寝袋がテントの壁に当たっていた場所を除けば、結露は凍っていて拭き取る必要はありませんでした。二度寝してゆっくり7時台に起きて、夕飯と似たようなパスタとご飯もの、ポタージュスープ、パン、果物の朝食にしました。そして、また飲み干したポタージュスープのコップをテント外に置いて凍らせてしまいました。
9時に撤収開始。設営のときに”電車”に見立てて子どもが遊びに使っていたポールのジョイントが、多分遊んでいるときに雪が入り込んだのでしょう、凍っていて外すのに少し力が要りました。グランドシートの下の雪は解け切って枯れ草・落ち葉がたくさんくっついて、もっと断熱にこだわったほうがよかったと思いました。この程度の雪の厚さでは、雪はとけたら水になるのですね。
撤収完了してチェックアウト時間の10時に出発。日は照っていましたが路面は所々凍っていました。下りなこともあってディスクブレーキでもブレーキ制動が悪く、信号で止まるたびに最後が急ブレーキっぽくなってGarminのサイコンが事故検知をしてアラートが鳴る、というのを繰り返しました。あまりに毎回なのでスマホのBluetoothを切ってアラートが出ないようにしてしまいましたが、それでいいのか…。ここでは雪はとけたら氷になっていました。



帰路では勝尾寺に寄ってみたくなって、往路と同じ道を通りました。後から考えると、交通量が多くても下りなら登りほど邪魔にならないので、国道で帰れば速かったのですが。昨日歩いて下った道はシャーベット状+一部硬い凹凸になっていて、押し歩きで登るのも一苦労。足の位置も注意しないと滑りました。下りは往路よりきつくないので乗ることができましたが、まぁやっぱりトータルで時間が掛かりました。雪はとけたら別の顔の雪になる。雪国では「雪はとけると春になる」と言うそうですが、サイクリストにとっては毎日コンディションが変わるのでそうも言っていられないでしょう。雪国の自転車通勤の人たちはすごいなーと思ってTwitterを眺めています。

この後、「凍結しているので気をつけてください~」とすいすい登ってきたロードバイクらしきサイクリストに言われて「は~い」と答えたけれど、”ここにいる時点で凍結地点を通り過ぎて来てるYo!”とツッコミを入れたくなりました。結局、勝尾寺に向かいかけたものの登りの凍結で滑って足付きしてしまって、”押し歩きしてまで行かなくてもいいな”と思って引き返して帰ってしまいました(^.^;
期せずして近場で雪道ライド+雪中キャンプとなったわけですが、どうやらこれが今年最初で最後の機会となりそうです。次はもう少し雪用のアイテムを揃えて、より安全・快適に自転車キャンプ・親子キャンプができるようにしたいです。ゴリラフィールドとよのキャンプ場はここまでの雪中キャンプができるのは稀だと思いますが、春はお花見もできて、時折イベントも開催されているので、チェックしてみてください。[場所・大阪]

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