この記事は、payanecoさん(Twitter)主催のロードバイク Advent Calendar 2022 12日目に参加して書いているものです。いろいろな人のスポーツ自転車全般に関連する記事を25日まで毎日読むことができる機会で、読む専でしたが昨年初めて参加、今年で2回目になります。前日はほりさんの「21700バッテリー運用の現状と可能性」です。
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<目次>
□ はじめに
□ チャイルドトレーラーの特徴
□ チャイルドトレーラーで輪行しよう
□ チャイルドトレーラーにうまく積載しよう
□ ぐいぐいけん引しよう
□ その他の小ネタ
□ 最後に
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□ はじめに
簡単な自己紹介をしますと、私は2017年からロードバイクに乗り始めたロングライド・ブルベが好きのアラフォーで、最近は主にブルベで走っています。ブルベのときの仮眠力を上げるべく自転車キャンプを始め、実際テントを持って走ったことは3回あり、最近のブログの内容はほぼブルベと自転車キャンプとなっています。
自転車ソロキャンプやキャンプツーリングをそれなりに楽しんでいた私ですが、2年前に子どもが生まれ、子どもの面倒を誰かに見てもらってソロキャンプに行くのは気が引けて、キャンプは長期お休みの予定でした。一方で、子どもの保育園の送迎に使えたらいいなと思っていたのが、”チャイルドトレーラー”(キッズトレーラーともいう)。いくつかある中で、バーレー(Burley)のハニービー(HONEY BEE) (正規代理店 ライトウェイプロダクツ)という2人乗りチャイルドトレーラーに魅了されて、子どもがまだ月齢1ヶ月のときに早々に購入。紆余曲折あって、現在は子どもとのキャンプ4対その他の用事1くらいの感覚で使っています。というわけで、小さい子どもがいても自転車キャンプを諦めなくてもよいですよ、というお話です。
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□ チャイルドトレーラーの特徴
以下、チャイルドトレーラーの中でも、私が所有しているバーレーのハニービー(2人乗り)の話が主になります。チャイルドトレーラーは一般の子供乗せ自転車と比較して、自転車が転倒してもトレーラーはひっくり返らない、ひっくり返ったとしても子どもは外に投げ出されない、仮に車に衝突されたとしてもより低所からの外傷で済む、など安全面で非常にメリットがあります。その上で、利便性を考えると購入をためらうケースもあると思いますが、買ってみて日常的に使いづらかったら親子自転車キャンプに使えばよいのです。使っているうちに、日常でうまく使えるときが来ることもあります(うちがそのパターンです)。
チャイルドトレーラーが使えるのは1歳からになります。手持ちの自転車で後輪のハブナットやクイックリリースで専用の金具を挟み込み、トレーラーを連結します(ライトウェイプロダクツのウェブサイト)。

ブロンプトンの場合はナットを外して留め直すだけでシンプルですが、締め付ける際にトルクの指定があり、私は六角ナットのトルクレンチを持っていないので最終的に自転車屋で締めてもらいました。そこでの話によるとけん引によってハブに負担が掛かるとのことで、点検の際に特に注意する事項に入りそうです。


ロードバイク(リムブレーキ)とグラベルロード(ディスクブレーキ)の場合はオプションパーツが必要なことがあり、少々面倒です。金具の取り付け方については、過去記事を載せておきます。
輪行+ブロンプトン+バーレー ハニービーでキャンプへ(1/3; 準備編)
ロードバイク(リムブレーキ):
ロードバイク(リムブレーキ)+バーレー ハニービーで自走キャンプへ
グラベルロード(ディスクブレーキ):
(非公式) グラベルロード(ディスクブレーキ)+パニア+バーレー ハニービーで
自走キャンプへ
こうしてセッティングしてトレーラーをけん引できるようになると、歩道を走れなくなり車道しか走れず、自転車除くの一方通行を逆走できなくなり、歩道を押し歩きできなく(?!)なります。道路交通法上の普通自転車から外れるためです。車道が危険な場合に歩道に逃れることは違法性阻却(特別の事情があるために違法性がなくなること)になるだろうという意見をもらったことはありますが、そうとしてもどのみち歩道で乗車はできないので、どの道を通るかというのは悩ましい問題です。自転車本来の利便性が損なわれる地域も実際ありますが、それで子どもとの自転車生活を諦めるのは早計。ややこしい道を避けて輪行でお出掛けすることを提案したいと思います。
□ チャイルドトレーラーで輪行しよう
・ 駅のバリアフリー対応を確認する
チャイルドトレーラーは簡単に畳める構造になっていますが、入れた荷物を出して畳むというのは現実的ではありません。トレーラーのサイズは長さ85cm・幅75cm程度で、普通の車椅子(車イス)が通れるスペース、乗れるエレベーターがあれば大丈夫です。郊外の駅を利用する場合は、バリアフリー情報は必ず、乗り換えルートもできる限り事前に調べておく必要があります。トレーラー自体はベビーカー扱いになるので、通常は追加料金は掛かりません。私の経験での例外としては、淡路ジェノバライン(フェリー)では自転車と連結していてもいなくても、自転車もう1台分の料金が必要でした。バスに関しては、普通の1人用ベビーカーを乗せるのですら乗降が面倒で、挑戦していません。

南海電鉄 高野山駅からケーブルカーに乗ったとき。
・ けん引アームを短縮する
電車内の車イススペースが空いていれば、デフォルトでも置き場所に困ることもありませんが、けん引アームをすることで省スペース化することができます。詳しくは下記記事に載せています。
★Before

☆After

20数cm縮めることができます。ただし、輪行先に六角レンチを絶対に忘れずに持って行く必要があります。ミニベロには何とか取り付けられますが、700Cはもう一度伸ばさないと無理です。
もう1つ注意点としては、キャンプ道具満載の状態でアームを短縮すると、後方への荷重が過剰になってひっくり返りやすくなることです。子どもを乗せていないとなおさらです。電車内では進行方向と逆向きに載せるほうがよいです。
・ 自転車をトレーラーに載せる
前提として、輪行中子どもは抱っこかおんぶ、または自力歩行となります。うちの場合は2歳なりたてまでおんぶでしたが、寝てしまうと抱っこににせざるを得ず、総合的にかなり力技要素が多かったです。それはともかく、ブロンプトンは座席に載せることができ(1人用のチャイルドトレーラーでも可)、一番手っ取り早い輪行です。乗車可能な子どもの最大体重は18kgとされていて、ブロンプトンは約12kgで問題ありません。少しコツは必要だったので、詳しくは下記記事を参照してください。

ロードバイクの場合は、輪行袋に入れてトレーラーの上に載せます。詳細は下記記事にて。


縦型・輪行袋に入れていない状態での写真(バイクサイズ48)。写真ではフォーク先端が左にやたら出っ張って見えますが、実際にはトレーラーの車輪のやや外側に、フロントアウターギア~チェーンとほぼ同じラインにあります。
エレベーターに乗るときはコツが必要です。
・入口が狭いときは自転車を持ち上げて傾けて入り、トレーラーを斜めに入れる
・トレーラーがうまく斜めに入らないときは、持ち上げて端に寄せて人間が乗るスペースを作る


力業ですね。エレベーター以外では、輪行袋ごとベルトでトレーラーに固定して落下防止対策をしています。
□ チャイルドトレーラーにうまく積載しよう

チャイルドトレーラーの最大積載量は子ども1人or 2人(1人18kgまで)+荷物で45kgまでです。この写真でサドルバッグが付いていることに違和感ありませんか?
実は、座席後ろの荷室容量は47.5Lで、きちんと整列して入れられるわけではないのでさほど載せられないのです。乗り心地を重視したモデルもありますが、ハニービーの座席はいわば丈夫な布1枚。荷室に詰め過ぎると前の座席を圧迫しての子どもの座り心地が悪くなるのです。なので、座席の後ろのスペースは余裕を持たせて、空いている座席やサドルバッグに荷物を割り振っています。トレーラーにしたら容量が増える=積み放題というわけにはいかず、荷物が人数分増えることも見越して、軽量・コンパクトを目指すのはソロキャンプのときと変わりません。

最初は重いけどすぐ立てられるポップアップテントで(おんぷで設営)。

少し言うことを聞いてもらえるようになったらソロ用テントで。

成長に伴って狭くなってきたので2人用テントに。
□ ぐいぐいけん引しよう
この記事を読んでいるであろうスポーツ自転車に慣れているサイクリストにとっては、特別ここが難しいということはないと思います。車道走行も慣れているだろうし、ペダルが重くてもあまり蛇行しないだろうし、内輪差が問題になるようなキレッキレのカーブをあえてかます人もいないと思います。けん引したことがない人にコツを伝えるとすれば、
・自転車を単に漕ぐのではなく、長~い物を動かすイメージを持つ
・クランクに沿って回すよりも前後に長い動き、チェーンを回すイメージ
・トルクを持続的に掛ける
でしょうか。
子どもは1歳で9kg、2歳で12kg。そこに荷物が10kg超加わると、普通に漕ごうとするとトレーラーだけ後ろに取り残されて何だか前後に揺られる感じになります。立ち漕ぎをするとトレーラーが揺れてから戻って来るのに時間差が掛かり、ケイデンスは上げられません。”踏む”とは違うのですが、トルクがないと回らない、という漕ぎ心地です。
その他、注意点としては、
・高速で曲がったりカーブに突っ込んだりするとトレーラーが遠心力で倒れる
・車止めの通り抜けでトレーラーのタイヤが引っ掛かる
・重量があるのでブレーキが利きにくい
など。
私自身はトレーラーを倒したことはないのですが、ロードバイクの感覚で左折したときにトレーラーが倒れそうに感じたことがあります。実際に下りのカーブで倒したことがあるという人の話も聞いたことがあります。普段走行時より減速が必要です。気になる内輪差ですが、私の場合はスピードが出ているときは大丈夫なのですが、むしろ超低速・押し歩きのときに段差や車止めに左側のタイヤをぶつけてしまいます。低速になると車両感覚を忘れてしまうようです。低速かつタイヤのクッションもあるので、トレーラーが倒れることもなく、何なら寝た子どもが起きることもなく済んではいます。
走行計画は親と子の体力次第で。走行速度は経験で正確になって来ましたが、予定がずれるのは大抵子どものオムツ・トイレに要する時間です(汗) 毎度キャンプのレポートでなにがしか書いている気がします…。休憩については、最初の頃は30分に1回ご機嫌伺い、最近は1時間に1回程度ヘルメットを外してやるために休憩を取っています。ありがちなのが、子どもの世話を優先するあまり、自分の補給が足りていないこと。ハンガーノックに気をつけて。
□ その他の小ネタ
・ 自転車を立てて写真が撮れる
風が吹いていないのが条件になりますが、スタンドがなくても自転車を立てて写真を撮ることができます。
・けん引モード→ベビーカーモードに車輪の向きを変えて、後輪の支えにする。
・ブレーキレバーをゴムバンドで固定してブレーキを掛ける
・ハンドルを右に切る
・トレーラー本体のブレーキをする

風さえなければこれだけで自転車を一晩中立てておけることもできますが、倒れてディレイラーを損傷して自走不能になると大変ですので、トップチューブにロープを取り付けてペグ固定することをお勧めします。
・ 暑さ寒さ、雨天でも意外に大丈夫
夏、通常ベビーカーは地面からの照り返しでかなり暑くなるので子どもの熱中症に注意しないといけません。真夏の日中の走行は経験していませんが、7月に走ったところ、普段のベビーカーでの外出と比べて、意外にも子どもの飲料の消費量は増えませんでした。首元を冷やせる物、携帯扇風機、ベビーカーに装着可能な送風シートなどの対策もしましたが、チャイルドトレーラーは走行によって風が前から入って来るのが大きいと思います。夏のキャンプツーリング対策についてはこちら↓
一方で、冬から早春にかけては風が入るので寒いようです。親は漕いでいて寒くないので気遣ってやる必要があります。座っていて動かないので、外遊びのときよりも暖かい服を着せて、同時に標準で付いている雨天用の透明なカバーで覆ってしまいます。このカバーはしっかりしていて、雨天走行で上から浸水して座席が濡れることはありません。荷室は通常のカバーのみで、完全防水ではないのでじんわりとは湿りますが、大雨でも中が濡れて困ることはありませんでした。また、床のほうには隙間が少しあるので、ひどい雨で走行すると跳ね上げで浸水する可能性はあります。
問題は風。向かい風は本当につらいです。荷室のカバーを開放すると風が通り抜けるので少し抵抗が減るようですが、キャンプ道具満載だとそういうわけにはいきません。諦めましょう。強い横風は経験がありませんが、自転車単独でもしんどいので、かなり大変ではないかと想像します。大きな橋を渡るときは要注意です。
・ お手軽お掃除法
最初はきれいに使おう、使わせようとしていたトレーラー。気づけば泥だらけの靴で入り、砂だらけのズボンで座り、急いで撤収したテーブルやイスに残った土が落ち、そこら中が土と砂だらけになります。こういうときコードレス・ポータブル掃除機がとても便利です。
雨上がり直後や雨天走行の後、トレーラーの外側には草やら泥やらがくっついて掃除が億劫になりますが、億劫なままで大丈夫。乾くまで待ってから払い落としてから、その後水洗いや雑巾がけするのが楽です。
□ 最後に
長々と親子自転車キャンプを推してきましたが、実は最近は保育園のお迎えにもよく使っています。最初は自転車通勤帰りにおんぶで自転車を押し歩きして15分で帰っていましたが、ある日試しに歩かせて帰ったところ20分で帰宅できました。最初からこのペースで帰れるなら今後もっと速く歩いて帰れるだろう―そう思っていたのが、段々30分掛かるようになり、40分となり、50分にまでなったとき耐えられなくなり、10分ロスしてでも車止めによる遠回りが面倒でも、一旦自宅にチャイルドトレーラーを取りに戻ってから連れ帰るほうが早いと判断しました。―なぜ段々時間が掛かるようになるのかというと、自由に歩けるようになると寄り道したり友達について行ったり、好きに動き回るからです。本来の用途に使えるようになってよかったのかなとも思います。
もし実際にどんなキャンプをしているのか興味が沸いたらキャンピングのカテゴリーの記事も読んでみてください。キャンプを通じて子どもの成長を実感できるのが楽しみです。この記事を通じて、どこかで親子自転車キャンプの仲間が増えたらいいなと思っています。
明日のロードバイク Advent Calendar 2022はちーたんさんの「ロングライド中の「暇つぶし」ネタ」です。 [ブロンプトン・チャイルドトレーラー]



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