初めてのSR600・SR600KW (紀伊山地)、旧時間制限チャレンジ ~後編~

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 初めてのSR600・SR600KW (紀伊山地)、旧時間制限チャレンジ ~前編~
 ブルベ×キャンプ??: 小船キャンプ場(小船梅林)@三重県熊野市 ~SR600KW (紀伊山地) 番外編~
の続き、後編。
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<目次>
□ 覚悟を砕く玉置山
□ 熊野本宮大社~龍神
□ 護摩壇山~高野山
□ 下り・平坦~Return to りんくう!
□ 補足・総括

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□ 覚悟を砕く玉置山
 暑くて十分仮眠できなかった宿泊地の小船キャンプ場を2日目8時(25時間)に出発。ここで強制的に借金ゼロとなる。5km走ってルートに復帰してすぐのところに、ヤマト運輸の営業所が見えた。ツェルトのポールは今回トップチューブの下での固定がうまくいかず、ずっとずれてガチャガチャいっていて時々足に当たって煩わしかったし、ツェルトももう使わないはず。ガス缶とコップも使わない。脱いだ衣類もいらない。マットはどうしようか。送り返すとしたらポールの長さで荷物でサイズが決まるよな、サイズ大きくなるかも…などと考えていたらそのまま通過してしまった。ここで荷物を送り返せばよかったと、後々になって後悔した。営業所で段ボールに課金してもよかったし、ダクトテープは持っていたのでうまく固定すればマットに包んで送れたかもしれない。
 これから暑い一日の始まりで、1時間も経たずに自販機で水浴びした。玉置山はきつい、という噂を聞いていたので覚悟していた。玉置山に登るまでにやや荒れた道を13kmじんわり登る。前半の未明の県道43号線で慣れたので荒れていること自体は大丈夫だったが、勾配10%以上が続き、休めるところが本当にない。腰が痛くなる。去年までの走力だったら泣きながら押し歩きしていたかもしれない。永遠に登りが続くと思った。傍を流れる川は玉置川(たまいがわ)で、玉置山・玉置神社は”たまき”と読むらしい。和歌山を走っていたと思ったらいつの間にか奈良県に戻っていて不思議な感覚だった。ちょうど和歌山の飛び地を通過したらしい。
 玉置神社への分岐の所で草むらに落とし物をしておく。あとPCまで2kmだ、がんばれる。…と思っていたが、ここまでの急勾配続きでうまく補給ができておらず、残り1kmというところで空腹を感じ、路肩に停まって補給。駐車場まで行けば自販機があると分かっていたので飲水もしっかりしておく。

2日目11時過ぎ(28時間過ぎ) PC10 玉置山 大峰奥駈道(おおみねおくがけみち)石碑
すごく達成感があって”やったぞ!”という内容のツイートをしたかったのに、あのときの頭脳を使って実際に打てたのは上の3文字であった。
 玉置神社の駐車場の自販機はお山価格であった。飲料を3本購入するつもりだったが、下り基調なので大丈夫と判断して2本にケチった。落とし物をした場所まで戻る。落とし物を回収するとき、アザミの棘が足にチクチク刺さって痛かった。自分の弱さを嘲笑い指摘してくるかのようだった。
 玉置山からの下りも13km、永遠に続くかと思われた。私の技量だと下ハンドルでないとうまくブレーキ制動できないが、ずっと下ハンドルだとさすがに体勢がきつく、左右で上下逆に持つなどした。玉置山、覚悟はしていたけれど、覚悟が足りなかった。

□ 熊野本宮大社~龍神
 自販機休憩を挟みながら、ここからは概ね平坦な道を進む。熊野本宮大社の手間では事前情報通りに迂回する。

訂正: ×トンネル迂回路→○トンネル後の迂回路
2日目13:20(30h20m) PC11 熊野本宮大社
昼食の時間だが暑さのせいかあまり食欲がなく、最寄りのお店で冷たいうどんとカルピスを注文。先にご飯を食べることを考えていたら、WAKAYAMA800のことを忘れてしまった。近くのヤマザキYショップは確認不足で定休日だった。ここで荷物を送り返すことも考えていたが白紙になり、補給食補充の計画も練り直さねばならなかった。とりあえず開いている店を探し、クリームパン1個を購入、次のPC近くの道の駅で補給食を買い足すことにした。
 これ以降はそれほど登らないが、なんせ暑いし疲労も溜まってきていてトボトボと走っていた。

2日目15:30(32h30m) PC12 近露(ちかつゆ)王子
近くにAコープがあって寄ることも考えたが、このときの疲労度で欲しい物を探し回るにはちょっと広くて煩雑そうなので、やはり道の駅で補給することにする。
 少し進んで、道の駅 熊野古道中辺路(なかへち)に到着、WAKAYAMA800チェックイン。ここで10000mAhのモバイルバッテリーを使い切る。スマホのバッテリーが大容量かつ2台持ちなので、残量%表示を気にして充電するとこうなってしまう。サイコンはEdge1040 Solarかつ予備があったので心配していなかったが、若干不安を感じるので買い替え時かもしれない。ここは規模の小さい道の駅で、補給食は選べるほど種類がなく、フロントバッグに入れやすい大福を7個ほど買った。ゴミ箱もなかったが、レジで尋ねると引き取ってもらえたのでありがたい。
 日が落ちて来て涼しくなるとペースが戻って来た。青看板に龍神の地名が見え始める。今年は大雨で通行止めになることもあった龍神スカイライン(国道371号線)。通行可だと調べてはいるが、電光掲示板で予定通り通れることが確認できるとほっとした。これから夜間に補給が少ない場所を通るので、何か買い足しておこうと思うが、時間的に開いている店はほとんどなかった。運よくふれあいマートあだち(※)が営業中で、選択肢はあまりなかったが、菓子パン、ちくわを購入。調子はよくこのまま進むこともできそうだったが、予定していた睡眠を確保できていなかったので、この辺りの確実に休める場所で小一時間休むことに決めた。
※(2023/9/14追記) 7月末に閉店したそうです…。(AGARA 紀伊民報)

□ 護摩壇山~高野山
 段々と気持ちが雑になってきていて、道の駅 龍神のWAKAYAMA800ポイントをスルー。道の駅 ごまさんスカイタワーまで龍神スカイラインを北上して登る。南下で登るのは一度経験しているが本当にきつかった。北上はどうなのか…? 走りやすかった区間は終わり、ごまさんスカイタワーに近づくにつれて激坂となり、やはり相当にきつかった。道の駅までの距離を示す看板の間隔が1kmもないのがきつさを象徴していた。2.8kgのサドルバッグが時折立ち漕ぎでぐっぐっと音を立てる。なぜこれをここまで連れて来てしまったのか…。
 時折車やバイクが来るが、輩(やから)的な走りをするのはいなくて助かった。途中で明るい光が見え、”まだ着かないはずなのにおかしいな?”と思っていると、ライトとスクリーンで昆虫採集(ライトトラップ)をしている人や、ドームテントでキャンピングをしている人だった。こんな時間に何やっているんだか(ブーメラン)。

2日目22時過ぎ(39時間) PC13 護摩壇山/ごまさんスカイタワー
ここは暗くてどこで撮影するか迷ったが、なかなか夜遊びの雰囲気が出た1枚となった。トイレに寄ろうとヘッドライトを取り出したが、それでも近寄りがたい暗さで行く気が起きなかった。自販機で飲料の補充を予定していたが、水とスポーツ飲料が売り切れていた。日中暑かったからねぇ…。やむなく緑茶を選択したが、これが意外に正解でとてもおいしかった。ついで、WAKAYAMA800の山岳ポイントのチェックインをしようとしたが、電波不良でアクセスできず。以前はつかめた気がするのに。時間的にこれ以降の寄り道は目標の50時間ゴールに間に合わないかもと思い、WAKAYAMA800は断念。結局、回れそうな場所18ヶ所のうち、5ヶ所しかチェックインできなかった。
 ごまさんスカイタワーからは、たまに登り返しがあるが基本下り。龍神スカイラインをそのまま行くのではなく、9kmほど下ってまた奈良・野迫川(のせがわ)方面に向かうので通り過ぎないよう、飛ばし過ぎないようにした。野迫川への道、川原樋川(かわらびがわ)沿いは小石とグレーチングの段差でやや荒れていて、ミストでアイウェアが曇って視界はよくない状況だったが、左側は山で転落する心配がなく、もうだいぶ荒れた道に慣れてきたこともあって落ち着いて進むことができた。秋は紅葉がきれいらしい。

2日目24時前(41時間) PC14 熊野参詣道小辺路(こへち)
 この後、Ride with GPSを見直すとまあまあ登っているようだが、全く覚えていない。忘れただけかもしれないし、登りに鈍感になっていたのかもしれない。高野山まで5kmというところで、頭の中でナンセンスな問答が始まるという幻覚の予兆と、瞬きに時間が掛かっている感覚というマイクロスリープの予兆があり、急遽休むことにした。ちょうど交互通行の信号があり、その奥の路肩で立ったまま5分仮眠。
 高野町に入ってからは飲料補充のため自販機を探しながら走った。ゴミ箱併設の自販機を見つけるのはなかなかハードミッションであった。

3日目2:30(43h30m) PC15 高野山金剛峯寺

□ 下り・平坦~Return to りんくう!
 高野山からの下りは長く感じた。夜間は車がおらずスムーズに下れたが、もっと楽に下れてもいいのになぁと感じていた。かつらぎ町からは、アップダウンありの下り基調であることは分かっていた。去年、子どもとキャンプツーリングに来たときに通った道だからだ。それにしても全然進まない。チャイルドトレーラーを引いていたときのほうが楽だったような…と思っていると、再び瞬きに時間が掛かる感覚があり、安全な路肩を見つけて10分仮眠。その後ももう1回同様の感覚が出て立ったまま5分仮眠。以降は徐々に日が出て来たので大丈夫だった。
 そろそろ朝ごはんにしたいなと思っていると、ちょうど自販機とベンチ・テーブルがある休憩所を発見。旧・平岡商店(昨年末に閉店とのこと)で、自販機の種類が豊富だった。顔を拭いて日焼け止めを塗り直し、コーヒーを飲んで補給食を食べてリフレッシュ。そうしているうちにトイレに行きたくなり、探すと10km先の公園に公衆トイレがあると分かり、下り基調であることに期待して急ぐことにした。結果、公園まで行かなくてもコンビニに辿り着けた。ついでに菓子パンを買う。
 ここから海南市・和歌山市までは、早朝だったこともあって思っていたより快適に進むことができた。和歌山発ブルベには以前はよく出ていて、この辺りの風景が懐かしかった。

3日目6時(47時間) PC16 マリーナシティホテル看板
この写真は私にしては気合いを入れて撮影した1枚。

 紀の川を渡る紀の川河口大橋(みなと大橋)からも1枚。ここまで車の圧はほとんど感じることなく走れていたが、紀の川を越えると和歌山ナンバーの車が大阪ナンバー並みの挙動をするようになり、警戒しなければならなかった。これ以降は、ブルベや自走で通ったことがある道だし、次のPC 休暇村紀州加太も登ったことがある。

7:30(48h30m) PC17 休暇村加太
以前登ったときは最大28T、現在は30Tなのだが、こんなにきつかったっけ、と思いながら登った。この日も暑くなる予報で、この登りで一気に汗が噴き出した。
 自転車を停めて、中の売店で何か飲み物を買うことにした。ゴミ箱はないがこの暑さなので補充しなければやってられない。じゃばら飲料が好きなのでじゃばらウォーター(295円!!)を購入。しかし、この日はお茶を入れたボトルの後に入れたせいか、大変微妙な味であった。
 残り30km弱、50時間まで1時間半。汗でずり落ちてくるアイウェアを何度も上げ直し、ツェルトのポールがずれて足に当たってきたら戻す。これだけで全体で5分ほどロスしているのではないだろうか。できるだけ急ぐが、交通量が多いのと、りんくうタウン付近のテクニカルな移動で結局は間に合わなかった。

3日目9:08(50h8m) ゴール
ツイートの通り、2.8kgのサドルバッグを付けたままで、WAKAYAMA800の寄り道やチェックインに時間を取られたのを含めても旧時間制限の50時間近くで走れたので満足なのだった。

□ 補足・総括
 初のSR600で地味に困ったのは、トイレの場所だった。普通のブルベではコンビニPCが多く、飲料・補給・トイレ休憩が同時に済ませられるが、山の中だとそうはいかない。SR600KWのコースは自販機が充実しており、飲料は何とかなったし、飲料からカロリーを搾り取ることもできたが、トイレは無計画だったので最後のほうでひやっとさせられた。
 今年5月から導入しているサイコンのGarmin Edge1040 Solarは、最もGPS精度を落とした状態で97%→8%の減り具合だった。夜間走行が多く、停車時も止めずにいたので、こまめに停止させていたらもう少し残ったかもしれない。今回10000mAhのモバイルバッテリーをスマホの充電で使い切ってしまったが、サイコンの充電を考えずに済んだのはストレスが少なかった。
 6月からタイヤをグラベルキングの23Cから26Cに替えて、このルートくらいの荒れ具合では問題なかった。登りで特にグリップの良さを感じ、車体のふらつきが抑えられている気がする。タイヤの性能を信じて、細かい障害物を気にし過ぎず、虫の分類をいちいちせずに走れればもっと楽になるだろうと思う。
 SR600の完走後の手続きもうまくできているのかイマイチ自信がなく、迂回方法、写真やブルベカード記入、書類など認定条件を満たしているか分からない。けれど、今回の”冒険”はとても有意義な経験で、今後のブルベに生かせることが多いと思った。[場所・大阪][場所・和歌山][場所・奈良][場所・三重]

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