和歌山紀南をめぐる冬ブルベ

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 和歌山にゆかりのない私が和歌山推しになったのは、とある冬場になぜか友人と「ちょっと海に行こうぜ~」という話になり、大阪から北に行くか南に行くかで雪に遭遇しなさげな潮岬を選んだことが切っ掛けだ。車で2回は行ったと思う。これというエピソードはなかったけれど、本州最南端という響きに憧れたり、マグロバーガーを味わったり、紀伊大島の樫野埼灯台に登ったり、エルトゥールル号の話をトルコ記念館で読んだりしたのを覚えている。車よりも自転車によく乗るようになってからは和歌山発着のブルベに出るようになり、さらにブラタモリで地理の知識が多少身について、より魅力を感じるようになった。
 特に紀南には奇岩スポットが多い。そんな紀南をぐるっと巡るすさみ200。

ルートを見るに累積標高もそこまで多くなく足に優しそう。これは万障繰り合わせて行くしかない。
Hashiguiiwa
□準備
 私の住む大阪北摂から周参見(すさみ)はぶっちゃけ遠い。電車で4時間くらい掛かる。車で行くことも考えたが、自転車を輪行袋に入れて後部座席に載せるとなるとチャイルドシートを着脱しないといけないし、過去のドライブ経験で道路交通状況も運転のそれなりの大変さも覚えている。なので電車で行くことにしたものの、宿の最終チェックイン時間がことごとく早く、どこに泊まるにしても15時台に出発しないと間に合わないことが分かった。それは現実的でなかったので、無理のない時間に出発し、かなり手前で泊まって当日めっちゃ自走するか、適当に(な)仮眠を取るかで後者にした。雨ならDNSも覚悟したが、幸い天気はしっかり晴れになった。
 気温は通常より暖かい4~13℃の予報。暑くなってもある程度耐えられるいつもの服装、ミレー ドライナミック メッシュ 3/4 スリーブ(公式: 男性女性)+ファイントラック メリノスピンライトジップネック(公式: 男性女性)+SUNVOLTのウィンタースーツ(サンボルト ヤフー店)を選択。手袋は防寒テムレスの黒(楽天Amazon)。走行中は不要だが、輪行中に電車内で寒くて眠れないことが時々あるため、レインウェア上下を防寒対策に用意。手袋はいつも予備を用意していて、今回日中は防寒テムレスだと汗だくになるかもしれないと秋用のフルフィンガーを持って行くつもりだったが忘れてしまった。実際はそれほど暑くならなかったので、最初から最後まで防寒テムレスを使用した。
 装備は仮眠グッズをアピデュラのサドルバッグ14Lに何とか突っ込んだ。かさばるわりには重くなく、そのまま走ってもあまり問題ないと判断。後でTwitter情報で知ったことだが、実は最寄りの周参見駅に時間外でも使えるロッカーがあったらしい。公式サイトにはロッカーないってなってたYo! 今度来たときには使おうと思う。
 以前はこういう荷物が多くなるときはよくバックパックも併用していたが、この1年はサドルバッグだけで何とかなっている。足が伸びて 体の柔軟性が増してサドル高が上がってこのサイズのサドルバッグを使いこなせるようになったこと、自分に合うコンビニ飯と摂るべき量が分かってきて補給食の持参が減ったこと(&悲しいかな、お腹がやたら空くような強度の高い走り方ができなくなったこと)、輪行時の手荷物をバックパックではなくシートゥサミット(SEA TO SUMMIT) ウルトラシルナノデイパック(楽天)に入れて走行前に中身をサドルバッグに詰め替えるようにしたこと、現地で代替品が入手できる物は置いていく判断ができるようになったこと、などが積み重なっているのだと思う。
□移動
 前日、午後半休を取るも、子どもがやたらと遊びに巻き込んできて、後回しにしていた 最後の細かい準備が整わない。普段帰宅後は1人遊びをする子だが、どうやら保育園で遊び足りなかったようだ。結局、手袋の予備や皮膚保護クリームなど致命的ではない忘れ物をしたり、チェーンの注油が数週間前のままだったり、パワーメーターの電池交換ができなかったり、自分の夕食の準備ができなかったりした。夫が帰宅するまでの間をベビーシッターさんに頼んで18時台に出発。時間に余裕を持って出たつもりが、予定の電車に乗れたのが3分前w ギリギリになってしまった。ちなみに、予定の電車=“終電”なので危なかったw
 新大阪駅で何とか夕食を手に入れ、くろしおの自由席に飛び乗った。車内で特急券を購入して夕食を食べ、後は快適に仮眠。…だったが、途中で換気のせいなのか急にやたら寒くなったのでレインウェアという名の防寒着を重ね着。予想通りのことが起きるもので、経験というものは大事である。
 紀伊田辺駅で乗り換えのために降り、電車を待っている間に別のホームのトイレに行ったりpitapaへのチャージ方法を駅員さんに聞いたりして過ごした。電車は思ったより早く来て、中に入るとそれが「きのくに線 サイクルトレイン」(JR西日本サイト)だと分かった。きのくに線の普通列車で現在紀伊田辺駅~新宮駅の間で実施中で、土日は終日、平日は9時以降ずっと自転車を持ち込むことができる(2022年12月31日まで)。乗り換えの待ち時間が長く、ホームに人が全然いなかったので、ここで輪行解除して乗れば降りた後の時間が短縮できたのにと後悔した。何事も予習は大事である。
□海岸沿い
 移動はこんな状況だったが、仮眠は十分に取ることができ、4時台にコンビニ飯を食べてスタート地点に向かった。空はまだ暗く、星がきれいだった。
 受付では密回避のためブリーフィングはなかったが、代わりに注意点をまとめた動画が流れているという親切対応。事前に参加案内も読んではいたが、写真・動画はとても分かりやすかった。車検前に時間があったので、パワーメーターの電池交換をした。気温は予報通りで4℃くらいで、手袋なしで作業するのが億劫にならないくらいの控えめな寒さだった。
 車検後、まだ暗い中を東に向けて出発。他の人の走行を気にせずに済むほどの、よい感じでばらけた出発になった。海岸沿いは風が強いことが多いが、この日は穏やかかつほぼ追い風だった。アップダウンはあるものの、序盤なので問題にならず、時々後ろから来た人に抜かされながらも順調に進んだ。

日が昇ってくると海の景色が見えるようになる。紀南の海の風景は、いろんな形の岩が次々出て来るし、見る角度で形が変わるので走っていて飽きない。

パノラマバージョン。ここは江田海岸で、”洗濯板”と表現される手前のひだのような段々になった地形は褶曲(しゅうきょく)というそうだ。
Eda Coast
南紀熊野ジオパークのジオサイトになっている。
 PC1のコンビニに余裕を持って到着できたので、補給しながらTwitterを眺めていると、以前Midnight-Climber Plus 300というブルベで一緒になったりくらいまーさんも参加していることに気づく。投稿時間的に近にいそうだなぁと思いつつ再出発。
Hashiguiiwa
Hashiguiiwa
ここは橋杭岩 (はしぐいいわ)。
ここは過去の600kmブルベで海岸沿いを西向きに走ったときに通過しているが、後半で疲労していて写真を撮らずにスルーした場所だ。前半だと写真を撮る余裕もあってよい。
 さらに東へ進んで太地町へ。落合博満野球記念館の看板が気になりつつ、何かクジラっぽい写真を撮りたくて停車。

道の駅たいじの側にあるオブジェ
 すると、Twitterで見た気がする黄色い車体が通り過ぎて行った。写真を撮り終えて追ってみると、MT車を思わせるようなダブルレバーでの変速…りくらいまーさんであった。雑談しつつ、私のペースに合わせて引いてもらって、だいぶ楽させてもらった。
□海から山へ
 PC2の新宮のコンビニを出て、今度は熊野川沿いに山のほうへ向かう。川の反対側、三重県の県道のほうが車通りが少なそうで走ってみたいと思わせる雰囲気だった。雑談しながら走っているとあっという間に中間地点を超えた。親切仕様のキューシートと参加案内では少し寄り道して熊野本宮大近辺で昼食を摂るのを勧められていて、それに従うことにした。

熊野牛の肉うどん。せっかくなので地元の物を食す。


熊野本宮大社の鳥居。オダックス近畿のマスコットのオダックロウでおなじみ、八咫烏(やたがらす)の幟(のぼり)が立っていた。世界遺産熊野本宮館にも寄り、WAKAYAMA800のポイントもゲット。今シーズンもコンプできる見込みがないのだけど、一応”県外からも来てるよ”と企画の中の人に伝えたいのでチェックしておいた。
 ここからコースに戻り、曇りで暑すぎないちょうどよい気候の中、ちょっと登ってちょっと下ったらフォトチェックの湯の峰温泉。


しっかりとした硫黄臭のある温泉。温泉の熱気でか、道端にいてもなんとなく温かった。
 しばらくは登り基調。いつもならダラダラ行ってボーっとしてしまうところだが、足が温存できていて同行者がいるとなると、いつもよりがんばれた。登りが続くと空腹が出てきたので、ソフトフラスクに入れておいたジェルを飲みながら進んだ。昼食がうどんだけでは足りなかったようだ。
 日置川(ひきがわ)沿いに出てからしばらく進んで、フォトチェックのえびね温泉に到着。


川沿いに唐突に出現するので不思議な感じがする。
川の水が少なめだからだろうか、日置川の水はエメラルドグリーン寄りの緑に見え、白い石が脇に広がっていてコントラストが美しかった。この写真よりも手前ではもっときれいに見えた。
□再び海へ
 あとは日置川沿いに下り、ほぼ平坦な海岸を通ってゴールへ。ゴールはFRONT110というすさみ町観光案内所。もともと交番だったらしく、それで名前に110が付くそうだ。


今年初めてのオダックス近畿のピンバッヂ。ディスクブレーキを模したデザインとなっている。

土産にイノブタカレーとかつおぶしを購入。
 快走の結果、予想よりおよそ1時間早くゴールできて達成感を味わっていた。が、早く帰れるかと乗換案内で調べてみたところ、次の電車が2時間待ちと分かって白目をむいたのだった…(꒪⌓꒪)
 昨年BRM 100周年を記念するブルベがあり、それで記念行事は終わりと思いきや、今年は6月11日にBRM300km100周年の記念ブルベが全国で開催される予定である(Audax Japan: BRM300km100周年についてのお知らせ)。今回の発着地であるすさみでも”BRM611近畿300kmすさみ“が予定されていて、コースも公開されている。今回のように我が家からだとスタートに辿り着くまでが大変で、まだどうするか決めていないのだが、できれば参加したいところだ。
[場所・和歌山]

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