過去DNFした神戸発山岳ブルベ200GF(グランフォンド) (過去記事: DNF@BRM321神戸200 GF)。それから月日が流れてコースはVT(バーリトゥード)に進化した。去年は最初のVTシリーズへの挑戦として、累積標高が2000m/100kmを超えず、自分の走りが一番安定しているという理由で400VTを選び、完走することができた(過去記事: 完走@BRM521神戸400VT)。
次に挑戦するのであればく200kmだと考えていた。急勾配を含み距離あたり最も登りが多く、距離的にミスや遅れを取り戻しにくい200VT。それでも、船に乗る時間も考えないといけない&もっと荒れた激坂付きと言われる300VT、暑い9月にグラベルが付いてくる600VTよりは、手を出しやすい。
去年より何かよくなったことがあるかといえば、400VTを走ったときに確か主催のKさんにスプロケットの32T化を提案され、28Tからリアディレイラーを交換せずに付けられる最大の30Tに交換したことだろう。この頃はスプロケットやディレイラーが品薄で、手っ取り早く替えられたのが105の11-30Tだった。交換する前は27Tがどんな感触か心配だったけど、使ってみたら28Tのように使えて、さらに30Tは足への負担が減って蛇行も減ったように思う。
体力はといえば、SR600に挑戦しようとしていた昨年9月をピークに、トレーニング不足になっていた。子どもが寝てから筋トレやストレッチ、ローラー練をするのが理想なのだけど、なかなか寝てくれないし、眠くて一緒に寝てしまってそのまま起きられないことが多い。仕事からの帰宅時間を早めるしか対策はなく、この状況はしばらく続くだろう。さぼっていたら体重も1kg増えてしまった。
200VTにエントリーするか迷っていた1月、とりあえず当日の子守要員を確保できるか打診してみたところ、お世話になっているベビーシッターさんの予定は空いていた。そろそろシッターさんに頼むか否かの返事をしなければならない時期に来て、部分試走もできないまま、確定のお返事とともにエントリーすることにした。2週間ほどはローラー練に勤しんでいたが、2月の疲れが3月に入ってどっと出てしまい、部分試走予定の日も眠すぎて起きられず、もう諦めてしっかり寝ることにした。特に本番1週間前からはよく寝たと思う。
作戦と呼べるほどの上等な物は到底準備できず、172km以降は過去のログを参考にして、いくつかの交差点で認定が狙える目安の時刻を決めた。特に188kmの船坂小学校交差点からは400VTのときのログがあり、かなり正確なリミットが割り出せた。そこから逆算して、PC2 167km地点で貯金1時間(16.7km/h)であれば、何とかいけそうだと考えた。そこからさらに逆算すると、中間地点のPC1までは17km/hペースは絶対必要で、そこからは大野山・才の神峠が来るのでペースが落ちて…(あ、無理そう)。本番1週間前、峠の女神様3号の認定試走でもPC2地点で貯金1時間だったので、これは無理かもと思った。認定外完走を視野に、終電から計算したリミットも割り出しておいた。
”認定外でも完走”が目標だったからか、よく寝たからか、前日も当日も何も焦ることもなく不思議と落ち着いていた。前夜はいつものスタート近くの某所に泊まり短い睡眠時間だったが、頭はすっきりしていた。十分な睡眠時間と引き換えに荷物の吟味はあまりできていなかった。私の走力ではパンク1回でも時間切れになる可能性が高く、それ以外のトラブルは論外なので余計な工具は置いてきてもよかった。ツールボックスが重いなーと思いながら、考える時間がないのでそのままトップチューブ下のケージに入れ込んで持って来た。


スタート地点のHATなぎさ公園には二番乗りで到着。日の出とのツーショットを狙って自転車をセットするも、日の出のときには太陽がちょうど雲に隠れるという…。気温それほど寒くはなく、服装は夏バージョンのうちレッグカバーだけレッグウォーマーにして、手袋は8℃対応のフルフィンガーを選択した。受付のときにスタッフさんに「作戦は?」と聞かれて、「終電の時間は調べました。」という嚙み合っていない返答をした。実際作戦といえるものはなかったからねぇ…。
スタートして最初の登りは再度山。登るのは多分6回目。いつもスタートから50分くらい掛かる。

ロードバイクに乗るのが1ヶ月ぶりくらいで、せっかくの下りなのに、速さに体と目が慣れるのに少し時間が掛かる。

38km地点のチェックポイント、吉安上公民館。あぁ今日は祝日なんだね。ここでグロス17km/hに戻るのが不思議だ。うまくコースが作られているなぁと思う。
コースの中間はコンビニが少ないので、補給は多めに持ってはいたが、早めの45km地点のコンビニで補給・トイレ休憩の時間を取った。パンを1個食べ、飲み物を追加して、ようかんを2つを買い足した。ここからしばし北摂サイクリングを楽しむ。ウグイスも鳴いていたし、桜のような花も見た気がする。千丈寺湖の雰囲気が特によくて、くねくねでスピードは出せないけれど、いいコースだなと思った。
58km地点、馬の牧場があり”うわぁ~お馬さんだぁ~♪”と思った次の瞬間、ぐっと勾配が強くなる。楽しい北摂サイクリングは終了だ。息を切らさないことに集中して、先のことを考えずに耐えて登る。さらに坂がきつくなり耐え続けているところに、後ろから「永沢寺・母子(えいたくじ・もうし)」行きのバスが通り過ぎて行く。それを見た途端、なぜか集中力が切れてしまった。ヤバイ。とりあえず「VTに出ようと思ったのがスゴイ!」「この調子で!」などと低レベルで自分を励ます。もう足付きしてしまいたいと思ったところでやっと勾配が緩む。

ブルベでお馴染みの看板。皆この坂登って撮影しているのか…すごいな….。ちなみに、地名は永沢寺(えいたくじ)、ここにあるお寺は永澤寺(ようたくじ)なのだそうだ。
ここでもグロス17km/hに5分遅れる程度で済んだ。ここで数人飲み物休憩をしていた。コンビニで飲料を足したのでここでは休憩しない予定だったが、つられてリンゴジュースを1本飲んでから出発。

76km地点、篭坊温泉(かごぼうおんせん)との分岐点。200GFでチェックポイントになっていた所で、また来るとはなぁと感慨深かった。寂れ感が強く、いつか入湯しに来なければなくなってしまいそうな気がしている。
どれくらい登って、どれほど下ったのかよく覚えていない。99kmの倉垣あたりで強めの雨が降って来たので、屋根があるところでウィンドブレーカーを着た。ある程度撥水するが防水ではなく、登坂があるのでレインウェアでは暑いかもという判断だった。レインウェアの上下も持っていたけれど、帰りに電車に乗るときに臭気を封じ込めるために使うつもりだった。停まったついでに補給もしていると、りくらいまーさんが追いついてきて、これまでほぼ一人旅だったので元気をもらう。

104km地点、初めてのPC1となる亀岡ゴルフクラブ看板。ここまで奇跡的に17km/hを維持。維持できている理由がよく分からない。
確かこの後、雨の中の下りで猛烈な寒さを味わう。でもどこだったのか地図を見直してみても思い出すことができず、幻のようだ。妙見・野間辺りは知っている道だが、府道4号線(茨木能勢線)が突如グラベルになる。登りはよいが、下りは道を選びながら何とか乗車したまま進める状態だった。勢いよく下って行ったりくらいまーさんはここでパンクして、その後別のメカトラでDNFになってお別れとなってしまった。
120km地点、どうしても休憩が必要というわけではなかったが、何となくコンビニで休憩する。他にも何人か参加者がいたが、最後に出発したので自分がギリギリ隊であることをはっきりと自覚できた。雨は降り続けていて、下りだけでなく平坦も寒くて、一生懸命漕いだ。上だけでも普通のレインウェアを着るべきだったのだろう。
大野山へのアプローチ4kmがかなり長く感じる。200GFでも通った道である。当時はここで全然スピードが出なくてDNFを決めたのだが、今だってスピード出ないじゃないか…。当時の体調と走力では相当がんばっていたのではと思い返す。大野山に向かって右折して、ただひたすら登る。あんなに時間が掛かるのに最大勾配はせいぜい18%らしい。天文台の足付きせずに天文台まで登れた。天文台の入口の写真でもよいとのことだったが、主催のKさん曰く、上のモニュメントまで登らないと「獲得標高が減ります」とのことだったので、何だか意地が働いて、何とか足付きなし登った。でも目安より30分遅れだった。

ここで写真撮影していたスマホ2台のうち、1台が起動しないことに気づいた。水没かと思ったが、後から調べるとバックポケットで画面が外側に向いていて、ウィンドブレーカーが水の重みで背中に張り付いて、水滴で画面が誤作動したらしかった。多量の写真と動画が撮られていて、電池切れしたようだ。せっかくなので、雨の中シッティングで大野山を登る音を聞いてほしい。
昨日iPhoneの電源が途中で落ちて水没したかと思っていたのだけど、水滴でカメラがポケット内で誤作動して写真撮りまくっていた。動画モードの切り替わって電池切れしたらしい。大野山での雨音と踏み込むサドル音をどうぞ。 pic.twitter.com/lQOsbzHomQ
— 門川彩雷 (@ayalalmngl) March 21, 2023
大野山の下りには、凶悪な登り返しが2ヶ所ある。また、雨の中急勾配を下るのでスピードは出せない。とにかく下りは寒い。やっと下りが終わり、今度はゆるゆる登り始めたので、噂の才の神峠がやって来ると分かった。道が荒れた始めた所でバランスを崩して足付き。その後から勾配が急にきつくなったので押し歩きしたが、延々と続く20%というのは歩くのもなかなか大変だった。後ろから乗車したまま登って来る参加者が数人いたので道を譲る。立ち漕ぎで斜面にセミのように止まっていたかと思えばぐいっと漕いで登る、というのを繰り返していた。

目安の25分遅れに短縮はしていた。下りの道が2つ(実際は3つ)あって悩み、先行した人につかせてもらったが、荒れた道にもかかわらずスムーズに速く下っていた。下りでは自分が思っている以上にフロントタイヤに荷重が掛かっていて、凸凹に突っかかってどの方向に跳ねるのかわからなくて怖いのだろうと思う。自分には下りの技術がまだまだ足りないと実感する。たくさん登るしかないのだろう。まず登らないことには下れないのだから…。
下りで少し取り戻して、167km地点、PC2のコンビニには目安の約20分遅れだった。目標16.7km/hが16.2km/hである。ギリギリ隊なのだけど、周りがゆっくり休んでいて、それほど補給を欲していなかったけれどもつられて肉まんとココアを補給してしまう。
残るは六甲山。雨はもう止んでいた。ほぼ同時に再出発した人と、ギリギリ隊同志で何となく励まし合いながら進む。そのおかげもあって、172km地点で計算していた目安とほぼ一致。PC2からのこの5kmを大幅に余裕をもって見積もっていたようだ。188km地点の船坂小学校交差点では目安より少し速かった。トラブルなければ時間内完走が見えている。その先、ハニー坂はやはりきつかった。疲労で貴重な下りで稼げなくなってきていた。400VTのときとは違って体幹のバランス感覚も残っていたし、後ろから来る車に怯えることもほぼなかったので「行ける!」と思いながら走った。そして一軒茶屋の手前、ついに祝福のトンネルが現れる!
けれどもまだ4kmほど走らなければならない。ゴールは204kmなのだ。一軒茶屋を過ぎれば下り基調だけど、登り返しもあるのは知っている。油断せずに行く。まだか、まだか……ここだ!

ゴーーール!!
何人かに抜かされていたので自分で最後やろ~と思っていたら、もう1人やって来られたので急いで写真の場所を譲る。その人も本当にうれしそうだった。
防寒対策でここでようやくレインウェアの上下を着て、温かい飲み物を1杯飲んで、表六甲を下ってゴール受付に向かった。ゴール受付の公民館が開いている時間に間に合ったら、オダックス近畿のマスコット、オダックロウのイラストが出迎えてくれていたらしい。見られなかったのはちょっと残念だ。
最後に、今後200VTに挑戦しようか迷っている人に向けて、パワーのまとめを貼っておく。パワーメーターはGarminのRally 200という両側ペダル型を使っている。

休憩のログも入っているからなのか、思った以上に平均パワーが低い。でも普段のブルベはもっと低くて85~90Wくらいだ。NPが120以上になることは普段はない。20分の最大平均パワーは一番最初の再度山を登っているときで、これから算出されたのがFTP 163Wという数値になる。Zwiftのトレーニング時の設定から体感している自分のFTPは155WくらいでPWR 3あるかないかというところなのだけど(体重がバレるYo!)、実走だから上がっているのかもしれない。過去のFTPテストで最もよい数値は160Wだけど、最近は全然よい数値が出ないのでテストしていない。FTPが全てではないけれど、この数値を見たら何だか走れそうな気がする人は多いのではないだろうか。
以上のごとく、ようやく4年前DNFした200GFの頃から進歩したことを証明することができた。休憩時間を必要以上に長く取ってしまったが、冷静に見ると必要な休みだったのかもしれない。パンク1回でもアウト、気温が高かったら暑熱順化できていなくてアウト、飲み物休憩が増えてアウトだったと思うが、挑戦してみて本当によかった。次300VTに挑戦するかというと、課題が見えたのでまだ先の話だと思ったが、いつか試走にでも行けたらいいなと思う。[場所・兵庫][場所・大阪]

コメント
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凄い!素晴らしい!
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コメントに気づくのが遅くなりました。ありがとうございます!