季節は10月、ブルベの暦では年度末。そんな時期に、まだSR獲得に400kmと600kmの認定を残していた…。
BRM100周年記念ブルベの1週間後、茨木発出雲着の400km片道ブルベにSR獲得の望みを懸けた。それまでにも400kmブルベにエントリーはしていたが、中止やDNSでこの時期になってしまったのだ。片道コースなのでエントリー人数も少なめ。他のブルベで認定を取れた人は出走しないだろうから、何人くらい出走するのだろうか、半分だろうか、などと思っていた。
□準備
記念ブルベ200kmを走った後、暑さであまりがんばれなかったためか疲労や筋肉痛はごく軽くて済んだ。平日のブロンプトンでの自転車通勤は基本往路だけ、帰路は輪行にして、しっかり食べて体力を温存した。
記念ブルベ200kmでは、ゴール後の入浴・着替えの準備をサドルバッグに入れていたので、高野山までの登りが正直つらかった。今度の400kmでは有馬と大山を登る。さすがに今度はゴール近くの宅急便センターに、センター受け取りでそれらを送っておくことにした。その代わり、せっかく出雲まで行くのでお参りはしようと思い、ワークマンのライトスリッポンは持参することにした。400km以上のときはバックパックを背負うこともよくあるのだけど、今回はサドルバッグだけに納めることができた。
天気はといえば、1週間で激変し、2日目に全国的に冷えるという予報だった。さらに雨の予報。大山を登るのは夜の予定。冷えるのは早朝だから、レインウェアを着ていれば何とかなると判断。気温は日中25℃、大山8℃と予想し、登る前に寒ければコンビニで新聞か雑誌でもレインウェアの下に含ませるつもりで、ベースは夏服とした。実際は日中23℃、夜間山間部で多分12℃くらいで、よい勘だったと思う。
□移動とスタート
スタート地点の茨木まではタクシーで。自走でも行ける距離だけどまあまあアップダウンがあるし、ギリギリまで寝ていたいからw

受付の公園には意外と人がいた。…と思ったが、ラジオ体操をしに来た高齢者の皆様だった。どうやら走るのはほんの数人だけらしい。ゆえに、スタートしてわりと早いうちにバラバラになってしまい、長い1人旅となった。
途中までは以前の茨木発300km 茨木発夜行(鈍行)岡山行きと同じコース。有馬へ向かう道は、前回の夜スタートのときと比べて交通量が多くて精神的にはちょっとしんどい。が、気候が涼しかったためか、体力的には前回より楽だった。有馬は今回で3回目だが、船坂で息が上がらなかったのは初めてだった。300kmブルベの後でクランクセットを変えてショートクランクになったのだが、もしかしたらその影響かもしれない。


一番しんどいのはやはり有馬グランドホテル前の坂だった。前回のしんどさを覚えているので、このたびは心折れなかった。
□続く田園風景
三木あたりで信号待ちの際に地元サイクリストと少し会話したので、ブルベの紹介をしておいた。地道に布教はしているつもりである。
交通量が多いところが結構あったが、そこを抜けると、稲刈りの済んだ田園風景が続いた。信号は少なく、快調に進むことができた。天候も涼しめで、先週とは打って変わって、50kmで飲料消費は500mlで済んだ。胃の調子も良好で、70km地点のコンビニPCでおにぎりを食べ、以後、1コンビニ1おにぎりくらいの摂取で進んだ。
リスタートしてから不意に左膝上が時々痛むようになった。登坂で踏み過ぎたかと思い、しばらくインナーローで走っているうちに回復した。自転車通勤で完全なレストが少ないせいか、最近こういうことが多いような気がしている。


稲刈り前の田園風景が続き、快調に127km地点のコンビニPCへ。ここまではよい天気だった。もう1人の参加者と、「天気がよいのはここまでですかね~」などとやり取りをした。ここで、リアライト2灯のうち、電池切れの1灯の電池を交換した。1人旅が続いていたのと、参加人数が少ないのとで、車に自転車の存在に気づいてもらえなさそうな気がしたのだ。貯金が十分あったので、心の余裕があったように思う。

引原ダム
□雨の山陰
新戸倉トンネルを抜けると、そこは雨だった。175kmくらいだっただろうか。下り基調で飛ばせるかと思ったが、予報からして雨がやむ見込みがないため、寄る予定だったコンビニより10kmも手前のバス停で、「くそ~もうちょっと後に降ってくれれば…」と思いながら、レインウェアを着てスマホなどの雨対策をした。雨だけでなく、風も強めだった。

215km地点のコンビニPCから、大山登坂前の最後のコンビニまでは約50km。ブルベ的には決して遠い距離ではないが、実際には非常~に遠い50kmだった。山陰自動車道は交通量が多く、大型車がバンバン通る。暗くなると雨による視界の悪さだけでなく、対向車のライトがアイウェアの水玉に乱反射して、さらに視界が悪化した。レインウェアのフードを持って来ていなかったせいもあるかもしれないが、所詮フードではかぶっていても同様の気がした。つばありのサイクルキャップなら多少はましだったかもしれない。後ろから来る車・対向車の光・見えない路面など、道路状況を考え考え走ると、その処理と車への恐怖で脳が疲弊しそうな気がした。なので感情のスイッチを切り、無心で走ることにした。どうせ見えない路面を見ることをやめ、道路は比較的まっすぐだったので普段と同様やや遠めを眺め、腕の感触で凸凹に対応できるようハンドルをしっかり持ちつつ荷重はかけ過ぎないようにして、ペダルは踏み込まずに回すイメージを持って進んだ。幸い、白線の内側はわりと広く、凸凹もほとんどなかった。
しかし、無心で走っているつもりだったにも関わらず、あまりに距離が伸びないことに疑問を感じ、サイコンが間違っているのではないかと思うようになった。ここが休憩予定のコンビニではないのか?と止まったコンビニは、予定より10km手前であった。頼りのAndroidで位置を確認するとサイコンは合っていた。…また少し冷静になり、ついでにAndroidの充電をして、もう10kmがんばった。登坂が苦手な私が、大山のほうがマシ、早く大山に行ってしまいたい、と思うような状況だった。
大山登坂前最後のコンビニで遅めの夕飯を食べ、リスタート。走り始めは寒いものの、止まっているだけでは寒くなく、大山の寒さは問題ないと判断した。大山はブルベ1年生のときに同じルートを登っていて、記録を見返すと当時は足付き2回で登っていた。なので登り切れる自信があった。ものすごくきつい坂は少なかったように記憶しているが、当時の走力を振り返るとよく足付き2回だけで登れたなぁと思う程度にしっかりした山だった。ゆっくりと登り通過チェックへ。

大山寺郵便局
ここで最初にブルベカードと一緒に手渡された絵葉書を投函した。粋なチェックである。
自転車の写真も撮っておこうとiPhoneでも写真を撮影したとたん、シャットダウンしてしまった。電池表示が残っているようになっていただけで、ほぼ電池切れだったようだ。バックポケットに入れていたので汗の結露でやられたかと思ってすぐに充電をするのを避けたのだが、その結果、最後で大変手間なことになってしまった。
登っている間は雨風はあまり大したことなかった。下りは寒かったものの、途中の電光表示板から推測すると12℃程度で、指切りグローブで下れるレベルだった。下りはいつもなら白線で道の曲がり具合を確認しながら下るのだが、そもそもこの辺りは白線が消えかけているし、雨でライトの光がいつもより広がらず、あまり速度が稼げなかった。そして、やはり下りはあっという間に終わったのだった。ほっとしたのか、アップダウンが落ち着いた後に少し幻覚が出た。私の場合、疲労すると見ているものが”実在しない物に感じる”幻覚が出ることがある。幻視ではないし、幻覚で行動が左右されることもないけど、多分ちょっと眠いのだろうなと注意するようにしている。今回は、対向車が骨組みだけの車のように思えたり、コンクリートを吹付された崖が隠れ家的なレストランのように感じられたりした。雨がしのげる休憩場所なんてあるかなぁと思っているうちにまた登りが始まり、不思議とそれ以降は幻覚も眠気も襲ってこなかった。
そうこうしているうちに316km地点のコンビニPCに着いた。多分コーヒーを飲んだと思う。
ここからは雨と風の記憶しかない。体形に合わせて今年新調したはずのレインウェアだが、上は激しくばたついて抵抗を感じる。ベースが夏服だから仕方ないのだけど。どこかでルートが一瞬拾えなくなり、Androidで確認するもGPSが不安定で焦ったり、残り60km地点でガーミンの充電が残り9%になったりした。ガーミンを給電しながら走ろうとしたが、なぜかモバイルバッテリーのランプが残量不足を示す点滅していた。雨がざあざあ降りで屋根もない場所で、視界も悪いし接続部を濡らすわけにもいかなくて、給電できないものと判断した。残りの距離、Androidの地図機能だけで走ろうと思い、めっっっちゃ飛ばした。出走人数が少ないしこの荒天、DNFしていなくても400kmでは仮眠する人が多いし、待っていても後続が来て案内してもらえる保証はないのだから…。こういうことがあるので、Googleマイマップにいつもkmlファイルをインポートしてルートを作成している。何kmか走って、初めてガーミンが節約モードでもナビしてくれると知るまで、めっちゃ焦っていた。。
最後のPCからゴールは28kmほど。飛ばして速くついても、着替えを送った宅急便センターが開かないので早く帰れないと気付いたが、ナビが最後までもつか分からなかったので、まずはゴールしようと急ぐことしか考えなかった。最後10kmほどは風が特に強かった。雨も時々レインウェア越しでも痛いくらいに降ってきた。意外と最後に時間が掛かったものの、予定より50分くらい早くゴール。

早朝で人はほとんどいなかった。せっかく来たので、自転車を道端にこっそり置いて参拝。無事にたどり着けたのは神様のご加護もあったのかなと思い、「道中ありがとうございました」(-人-)と念じたところ、頭の中に「ふぁっ?! 知らんよそんなん?!」という言葉が浮かんで来た。。。 まあ神在月は出雲だけで、他は神無月ですからねぇ…(本当は旧暦10月なのでズレがあるけどそこは突っ込まないでw)。
□充電難民
ゴールのファミリーマートで電池で充電できるモバイルバッテリー類を探すも見当たらず、上のTwitter投稿後、地図ナビとして使っていたAndroidのバッテリーも切れて、大山で落ちたiPhoneも充電していなかったので充電難民・GPS喪失状態となった。出雲市駅前のネットカフェに自走で行く予定だったが、全く道の見当がつかない。
仕方なく最寄りの一畑(いちばた)電車(ばたでん)の出雲大社前の改札で出雲駅までどう行けばよいか尋ねたところ、320円追加すれば自転車ごと電車に乗せられると勧められたのでそうすることにした。親切な駅員さんが待合室の電源も使っていいと言ってくださったが、USBケーブルのみでプラグを持って行っていなかったので詰んだ…。何となしに、ちょっとでも残っていないかなーとモバイルバッテリーにケーブルを差すと、なんと普通に残量があって充電できたではないか。一体あのとき何が起こっていたのだろうか??

途中、川跡(かわと)駅で大社線から北松江線に乗り換えると、車内の自転車スペースがなくなって焦る。何とか最後尾に乗せて、手持ちのケーブルロックで車体を手すりに固定した。電鉄出雲市駅で降りて、エレベーターを使って改札を出て、充電が回復したスマホで地図を見ながら駅から宅急便センターに着替えを取りに行った。ネットカフェでシャワーを浴びて荷物整理をしたら、もう乗る予定の電車の時間が迫っていた。これを逃すと2時間後になってしまう。早くゴールしたのに、スマホの充電管理が悪かったせいで、複数台持っているのにこの体たらくであっという間に時間がなくなってしまった。
後日、メダルとピンバッヂ、大山で投函した通過チェックのハガキが届いた。

記念の絵葉書というのは初めてで、こういうのも素敵だなと思った。
来年も同様のブルベがあることが、これを書いている時点で判明している。どうか、来年の参加者には天気が味方しますように(^_^;
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神さまのいるほうへ
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