なぜ山に登るのか、ともし問われれば、そこに山があるから(=ロングライドしたいだけなのに山がくっついて来るんだよ!)という名言通りになります。登りが苦手なりにこの1年がんばってきて、グランフォンドシリーズやSR600にも挑戦したいと思えるようになりました。そこで、ちょうど今年の期末テストのつもりで、和歌山発着の山岳ブルベ300km・累積標高約5000mに参加することにしました。
□目標
今回のコースです。

和歌山にはWAKAYAMA800というモバイルスタンプラリーがあります。今年度はコンプリートを目指していますが、今回のコース沿いにもいくつかポイントがあり、特に何回も登りたくない山岳のスタンプがゲットできるのは一石二鳥です。スクリーンショットの紫はブルベのPCや通過チェック、星マークはWAKAYAMA800のスタンプです(Bは少し逸れたところのスタンプ。以前に行った所は省略。)。途中でタイムアウトになってもスタンプは取りたいと思っていました。
□準備
登りが多いので荷物はできる限り減らしたかったものの、DNFになるかもしれないし、走行後に風呂に入ってから帰宅したかったので、コインロッカーは利用せずにサドルバッグに着替えを入れて走ることにしました。替えの靴も荷物になるので、インソールが傷むので本当はしないほうがいいけれど、ビンディングシューズのままで輪行しました。輪行袋はR250の縦型軽量輪行袋セットを選択。

SEA TO SUMMIT(シートゥーサミット) ウルトラシルナノデイパック18L(と大きさ比較のためのKABUTO FLAIR S/Mサイズ)です。このサックに輪行中に出し入れしたい荷物を入れ、スタート前に中身をアピデュラ ドライサドルバッグ・コンパクト(9L)に移して詰めることにしました。このサックはスタッフバッグと一体化していて、畳むと7cmになり文字通り手の中に納まり、背負うことを主目的としないこういう用途に適していました。
補給食はいつもよりやや多めの100kmあたり1100kcalをジェル系をメインに用意。ジェルはサロモンのソフトフラスクに入れて走行中摂取しやすいようにしました。ボトルは750mlを1本。気温が予想より高くなりそうだったので、塩タブレットも数個用意しました。
服装は足元だけレッグウォーマー、他は夏用を選択。天気は雨予報から曇りに替わりましたが、完全にレインウェアを置いて行く勇気がなく、ウィンドブレーカーとレインパンツを持って行くことにしました。
またこのブルベは夜スタートなので睡眠不足が大敵。この週は予定外の仕事が多かったものの、隙あらば仮眠を取ってできる限り睡眠時間の確保に努めました。おかげで運動らしきことはできず、体重は絞りたかったのにむしろ増えてしましました(汗)
□夜、スタート
当日昼までは仕事に行き、午後は家で仮眠、夕方に起きてそこから風呂・パッキングを急ピッチで済ませて輪行。電車の中では目が冴えて、追加の仮眠は取れませんでした。
受付・車検を済ませて整列すると、いつもは前の方になることが多いのに中間辺りになりました。それに表れているように、とにかく行動が速い人たちが集まっていて、スタートするとかなりの快速。この道はわかやまサイクリングフェスタで通ったなーと思っているうちに、最初のコンビニに集団で到着。レジの並び方もすごく速くて、先頭集団はあっという間に出発して行って見えなくなってしまいました(^_^;
私は1本何かを飲んでから再出発し、少し前の人に追いつきましたが、少し長い坂になったところでやはり遅れ、さらに脇腹が攣ってペースが落ちました。緩い登りと向かい風の中、単独またはトレインの先頭になってしまいました。大阪府に入ると信号峠が始まり、漕ぎ出す力も速度もロスが多くなりました。PC1の60km地点のコンビニに着くと、前の人は1人もいませんでした(^_^;; ここからは本格的な山になるので、少し補給して飲料も買い足してトイレにも行きました。が、尿が出ない―ハイペースだったのと気温が高めだったのとで汗だくで、水分補給が追いついていなかったようです。
□葛城山
葛城山に登るルートは7つあり、今回は大阪側から登る蕎原(そぶら)ルート。勾配がきつくなるとともに、コンクリートの舗装に変わりました。舗装は傷んでいるところもあり、砂や石が多くなり、さらに勾配がきつくなって、「よし、もう少し回そう」と思ったそのとき、左脛の外側が攣って思わず蛇行しました。持ち直そうとしたものの、後輪も砂粒で滑ってしまって落車しかねなかったため、足を着きました。漕げなくなっても押し歩きは得意なので、「よーし歩いちゃうぞ☆」と歩き始めた瞬間、今度は両足の内腿が攣りました(T_T) 多分、序盤のハイペースと水分不足が一因だったと思います。また攣らないように足の角度に気を付けて押し歩きしましたが、3km/hを切るペースでしか進まない(しかも汗だくのまま)。少し勾配が落ち着いた所でまた乗ろうとしましたが、漕ぎ出す力が足りず、乗ることができませんでした。一応、普段平地であればサドルにまたがった状態でも発進できますが、足が攣るとできないし、そもそも坂道発進は練習すらしたことがないので、要は対策不足でした。結局3kmほど歩きました。
山頂でスタッフさんによる有人チェックを受け、下りは中尾ルートへ。路面が悪くて飛ばせないと教えてもらいました。確かに路面が悪いなーと思いながら下ると、なぜか歩いている参加者を発見。ふとGPSサイコンを見るとルートを外れていました。路面ばかり見ていて、間違えて牛滝・塔原(とのはら)ルートを1kmほど下ってしまっていました。その参加者は、ディレイラーハンガーが壊れてDNF、歩いて下山していたようです。ビンディングシューズで歩いて下るのはつらそうでした。その場にはお互いの絶望感が漂っていましたが、「がんばってください」と励ましていただいて、また1km登りました。中尾ルートは確かに狭くて細かいつづら折りで最初こそゆっくり下っていましたが、途中から急に体が勝手にカーブに合わせて動くようになり、思ったより減速せずに済みました。目でカーブを認識して判断する前に無意識に体が動いているという不思議な感覚で、山の神様が気まぐれで手伝ってくれたのだと思いました。
(参考) 葛城山のルートを振り返るにあたって、こちらを参考にしました。
FRAME(フレイム) より 「総獲得標高4000mオーバー!和泉葛城山7ルートを制覇できるか?!」
□高野山
高野山はわかやまサイクリングフェスタで登ったことがあり、何とかなるんじゃないかと思っていました。足を回そうとすると攣りそうな感覚があったので、腰とお尻の横から足全体を動かすようなイメージでクランクを回しました。この漕ぎ方はエネルギーを使うし、上半身が弱っていると腰が痛くなるので終盤まで温存したかったのですが、仕方ありません。蛇行も混ぜながら足を労わりながらゆっくり耐えて登っていましたが、先ほどの葛城山の再来を思わせるような洗濯板、もとい、狭い激坂コンクリート道with横線が出現。蛇行を許してくれない道だったので、また押し歩きました。後で調べると、ここは県道120号線の麻生津峠(おうづとうげ)という酷道として有名な所でした。押し歩いた距離は幸い短くて済みました。何とかなったと言っていいのやら(^_^;

矢立茶屋
一人で向かう高野山は思っていたより遠く、疲労度は大門に辿り着くも写真撮影をスルーするほど。通過チェックのコンビニで朝ごはんを手早く取り出発…したつもりでしたが、ゆっくりしていないつもりでも結構長めに休憩していました。時間に余裕はなくとも、ここに来るために何回も登りたくないという気持ちが勝り、WAKAYAMA800のスタンプ「中門」と「高野山観光情報センター」をゲット。
□ごまさんスカイタワー
高野山を出てすぐは下りで少し寒かったですが、どうせまた登って暑くなると思ってウィンドブレーカーは使わず。案の定、下りは一瞬ですぐ登り。高野山~護摩壇山は以前に車で旅行に来たことがあり、なんとなく一度下ってから登るのを覚えていて、下りになるのをひたすら待ちわびながら一人でだらだらと惰性で登りました。下って登り返しがあったと思ったら、また下って登り。なんで高い所に行くのにわざわざ下らないといけないのか、などと心の中で文句を。

ごまさんスカイタワーにはかなり遅れて到着。パワーメーター見ると、この区間の最後の方は最初に比べて30Wも落ちていました。時間に余裕はなくとも、もう自転車で登りに来たくない一心でWAKAYAMA800のスタンプをゲット。他の参加者は数人しかおらず、しんどさもあって言葉も少なげでしたが、次のPCまで平均20km/hで行かなければいけないと教えてもらい、もしかしたらギリギリかもしれないと思いました。
□龍神
ここからは長い下りで、車で来たときにはプリウスの充電が満タンになった記憶があります。順調に飛ばし、またもや「道の駅 龍神」でスタンプをゲット。この調子なら少し寄り道になる「道の駅 水の郷日高川龍游」にも行けるかも、と思いましたが、後半に備えて少しでも貯金を増やしておいたほうがいいかも、と迷っているうちに分岐点をスルーしてしまったので断念。また今度行くことにします。
寄り道しなかったおかげで、コンビニPCには余裕を持って到着できました。
□日高港新エネルギーパーク
ここからは海岸沿いのアップダウンと向かい風が待ち受けています。特に向かい風は単独走ではなかなか速度が出ませんでした。それでも往復400mの寄り道をして、日高港新エネルギーパークのスタンプをゲット。少し分かりにくい場所にありました。その間にどうやら2人組に抜かされていて、ちょうど信号で追いついたので後ろに付かせてもらいました。どうやらあの向かい風を協力して走っていたようでした。単独走は効率が悪いのでうらやましい…。
□千葉山(せんばやま)
最後のコンビニPCを出発し、しばらくすると新鹿ヶ瀬(ししがせ)トンネルに向かう県道176号線の登りに。紀伊半島一周(時計周り)600kmでも通りましたが、あのときはこれを登り切ればもう終わりが見えていたのでやる気が出ました。が、今回はまだ千葉山が残っているのにしれっとコースに入っていることにぞっとしました(^^; 先ほどの2人より先に出発しましたがここで追いつかれ、平地ではやや速めのちょうどいいペースだったので後ろに付かせてもらい、少し先頭を交代しながら千葉山登り口まで一緒に走りました。このおかげで楽にペースを維持することができました。
千葉山の登り口は一面のみかん畑でした。みかん畑が山にあるというより、みかん畑が山になっているというか、山が山に見えない不思議な光景ですごかったです。

千葉山の勾配はせいぜい10~12%でしたが、体幹の力がだいぶ削がれていてどうしても蛇行してしまいました。

風車と。この角度で撮るのは結構難しかった。
山頂らしき場所に着くと、なんと先に登ったおにいさんが待っててくれてるじゃないですか! 待っていただく義理は全くないにも関わらず、親切な人もいるものです。というわけで、少し休憩・補給をしてから残りの下り基調を3人で。口頭で道を確認しながら進むのでとてもスムーズ。グループ走行の恩恵を受けました。途中で「千葉山」のスタンプも無事ゲット。予定より1ヶ所少なくなりましたが、これでWAKAYAMA800のスタンプを一気に6個、うち3個は行きにくい山岳エリアのを稼ぐことができました。
最後の坂はマリーナシティに戻る橋。いつもよりしんどいなーと感じたのがこの1日のキツさの証明でした。
ゴールでお菓子とおにぎりをスタッフさんからいただいて、温泉に入ってからタクシーと電車で輪行して帰宅。夜スタートのブルベだったこともあり、よく眠れました。
□考察的な何か
ヒルクライムの期末テストのはずが、登りが苦手な私にとっては、比較的得意なダウンヒルで稼いだ完走となりました。荒れた路面だと下りでもあまり稼げないので、まだまだグランフォンドシリーズやSR600は遠い目標だと感じました。ともあれ、下りも含めて山岳なのだということも実感しました。たくさん登れば下りも多いわけで、今回は乗っているうちに下り右カーブで段々きちんと車体を倒せるようになってきたのが収穫でした。
山の神様が降りてきた葛城山の中尾ルートの下りを多少まじめに考察すると、今回前照灯にGVOLT70を使っていたのがよかったように思います。今まではVOLT800を使っていましたが、それに比べてGVOLT70は横に広めに照らされる配光になっています。その分、左側の白線がよく見えてカーブの方向・曲がり具合の把握が速くなり、体の動きが速くなったのではないかと思い返しています。また、下りの景色をたくさん見て経験を積むと、曲がる方向の判断が速くなるのかもしれません。
ついでにGVOLT70の使い勝手について。横に広めの配光はトンネル内でも役に立ち、やはり白線など道路の外側が見やすいので道の方向がつかみやすく、安全に走行できました。以前はひどいときにはハンドルごとライトを振って方向を確かめることもあったので、だいぶ走りやすさが違います。明るさに関しては、配光が工夫されているおかげでルーメン数のわりには明るいと感じられるようになっています。街中ではローモード(50lm)で十分、ただし夜の山の中ではハイモード(260lm)が必要でした。ハイモードは7時間しかもたず、バッテリーを交換できるタイプではないので連日走るとしたら本体を複数持たなければなりません。それでも総合的に判断して、ブルベで普通のVOLTシリーズに戻すことは多分ないと思います。
11~12月はブルベはお休みシーズン。その間にレベルアップしたいところです。
[場所・和歌山]
Midnight-Climber Plus 300
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