きつめのサイクリング後に足根管症候群になった話

この記事は約7分で読めます。
本ブログでは記事中に広告を含むことがあります。

 なんだか最近シューズの中のソックスのたるみがやたら気になる、安定していた踏み位置がしっくり来なくなった、なんていう人いませんか?いたら私とお仲間かもしれない。ほんの少しの違和感で始まって、足の裏全体にしびれ感が出た体験と、その原因と対策を記事にまとめた。
□前兆
 4月某日、5月の山岳ブルベにエントリーするかどうかを迷っていた私は、一部の試走に出掛けた。勾配がきつくなってからしばらくして、右足首の甲の外側~外くるぶしあたりが痛くなった。「あー踏み方が悪いんだな」と思って、痛くならない漕ぎ方を工夫しながらその日は120km・2000m upくらいの走行を終えた。私の場合、足に違和感が出るときはインソールがへたっていることが多く、インソールのせいで踏み方が悪くなったのだろう、とそのときは思った。使っていたのはSOLESTAR(ソールスター)のツアーインソールで、本当は雨天で使ってはいけないのだが、雨天走行はするし輪行でそのまま歩くしで、走行距離が少ないわりに1年に1回は交換する羽目になっている。もったいないし、山岳系に挑戦するならカーボン製のほうがいいかなと思った。
←グラスファイバー
(楽天市場)
カーボン→(楽天市場)
 早速、同じくSOLESTAR(ソールスター)のカーボン製インソールのコントロールを購入して交換した。試着してみると、なんだかアーチがいつもより圧迫されている感じがある。右拇指球(母指球)を後ろ側から押されるような感覚。ソックスがシューズの中でたぐり寄せらせているような感覚。実際に足裏を触ってみても、ソックスは全然たるんでいない。ソールスターは土踏まず・アーチをあまり押さないタイプのはずだけど、このときはインソールの種類が変わったからかと思っていた。後から振り返ると、このときすでに足裏の感覚がおかしくなっていたのだと思う。
 インソールを交換してから80km・2000m upほど走ってみたところ、心配していた硬さによる足の負担が増えた感じはあまりなく、手ごたえはよかった。ただ、右足はもっとつま先で踏みたいという感覚があった。もともとクリートの位置をシューズの限界までつま先寄りにしていて、ここ数年クリート位置の変更はしていなかったのに…。つまり、拇指球を後ろ側から押されるような感覚のせいで、位置がおかしいと錯覚したのだろう(正確には、昨年受けたフィッティングでクリートの位置がベストでないと言われたので、100%錯覚というわけでもない)。最終的に、レーブのクリートムーブスペーサーを使用してクリートをさらにつま先寄りにした。
(楽天市場Amazon)
□切っ掛け
 5月某日、400kmの山岳ブルベに出走。詳細はこちらに記しているが、最初の登りで試走のときと同じように、右足首の甲~外くるぶしが痛くなった。シューズのBOAダイヤルを少し緩めて、ペダリングで足首の角度も工夫して足を休めているうちに治まり、結局痛かったのはこの登りのときだけだった。自分の中ではかなりの強度で走り、グラベルの下りは降りて押し歩き、後半の登坂も押し歩き上等で何とか完走後、意外にも直後は痛い所はほとんどなかった。
 翌日から、予想していた程度の筋肉痛はあったものの数日で治った。ただ、通常の歩行中の動きで、右足首を伸ばして後ろに蹴るときに、時々例の足首の痛くなった場所に痛みが出た。かかりつけの接骨院に行こうか迷っているうちに1週間も立たずに治り、意外と大丈夫だなーと思っていた。
□引き金
 切っ掛けと引き金は同じではないのか、というツッコミはともかく、ブルベから10日ほど経った日、腰が凝った感じがしたので腿裏を伸ばすストレッチをした。普段腰が凝ったときには股関節の前か腿裏を伸ばせば軽くなるので、自分にとって特別な動作ではなかったが、何となく右足に嫌な感触じがした。小一時間して、右足の内腿から踵までしびれ感が出ていることに気づいた。痛くはないけど不快で触覚が鈍い。この日から翌日に掛けて、足裏全体にしびれ感が広がり、歩くと「砂を踏んだような」感触だった。とりあえずメコバラミン(ビタミンB12製剤)を職場で処方してもらい、家にあった疎経活血湯(漢方薬・OTC)を飲むことにした。疎経活血湯は切れ味が弱いのであまり人には勧めないのだけれど、「しびれ感の不快感から来る鬱々とした気持ち」が軽くなったのが1つ発見だった。
□治療
 最初2日間のしびれ感の範囲が広かったため、腰の痛みが全くないので多分椎間板ヘルニアではないだろうと思いつつ、念のため腰のMRIを撮影することにした。案の定、症状に関係する病変はなかったけれど、別の所にちょこっとヘルニアが見つかったので、将来的には注意しなければと思った。
 3日くらいでしびれ感は足裏全体だけになったが、気づいたら足を伸ばしたまま30°ほど前に出したり、寝た状態で挙げるとしびれ感が強く出るようになっていた。ちょいと運動が制限される状態。これは何とかしたほうがいいと判断し、かかりつけの接骨院に行くことにした。セラピストの先生によると前腿がガチガチとのことで、ほぐす施術で1回目で45°挙がるようになり、2回目で60°挙がるようになり、3回目でほぼしびれ感はなくなった。あらかじめケアのために行っておけば症状が出なかった気がして後悔した。
□原因
 私の足裏全体のしびれ感は足根管症候群だったと思う。手がしびれる手根管症候群の足バージョンみたいなものである。NHK健康チャンネルの解説が分かりやすく、セルフチェックの方法もあるのがよかったので載せておく。ここでは脳神経外科の先生の解説だが、受診するなら整形外科に行くのがスムーズだろう。
NHK健康チャンネル
足の裏がしびれる原因とは(足根管症候群、糖尿病性神経障害、筋肉の衰え)

 私の場合、上記のセルフチェックをするまでもなく、“そこを触りたくない”感じがあった。この内くるぶしの下あたりを叩いてしびれ感や痛みが出ることをチネル徴候と言って診断に有用なのだけれど、絶対したくなかった
(参考: 標準整形外科学)
(参考: Wikipedia)
足根管症候群は普通は踵にしびれは出ないとされているが、赤い部分の足根管より先で踵の感覚の神経が分岐しているタイプか、足根管より少し手前で障害されたかで、私にとっては大差がないことなのでここでは軽く流したいと思う。
(参考: Wikipedia)
足裏の感覚が脛骨神経由来で、その手前上流が腿裏の坐骨神経ということから推測すると、登坂時に足首に負担が掛かって足首の関節周りに炎症が起きている状態で、ガチガチになっていたであろう腿裏のストレッチで脛骨神経が障害されて症状が出たのだろうと思う。こういう同じ神経が異なる2ヶ所で同時に障害されて症状が出ることをダブルクラッシュ症候群と言い、片方だけの治療では症状が改善しないことがある。
□対策
 足首が痛くなってからというもの、足首を動かすとやたらとポキポキと音がするようになった。以前のようにスムーズに動いているとは言えない。登坂で負担が掛かり過ぎたのか、あるいはクリートのまま押し歩きし過ぎたからかは分からないけれど、負担を減らす目的でスプロケットを最大28Tから30Tに変更した(32Tにしたかったがディレイラーサイズが適応していなかった)。変更してからまだほとんど走っていないので効果は不明。
 実は一旦症状がほぼ消えた状態から、少しぶり返すことがあった。毎日ほぼブロンプトンで自転車通勤をしているが、どうも一生懸命漕ぐと悪化するようだった。足根管症候群と分かってから思い当たったことは、通勤のときはモンベルのBOAダイアル式のトレイル・ハイキング用の靴を使っていて、これが普通の靴より深い作りになっていることだ(下図の赤ライン)。

赤: ハイキング用 緑: ハイキング用 青:ビンディングシューズ
シューズの縁を足の内側から見ると、赤のハイキングシューズはビンディングシューズに比べてかなり深い。足根管周辺を圧迫しているような感触はなかったのだが、緑のハイキングシューズにしてからは症状が軽くなっている。ちなみに、ロードバイクと赤のハイキングシューズの組み合わせでは問題がないので、姿勢・漕ぎ方にも何らかの問題がありそうだ。そもそもなぜ山用の靴を使っているのかというと防水性があって雨の日の通勤が楽だからなのだけど、こういうこともあるのであまりお勧めしない。
 今回のことを切っ掛けに、他にも感覚障害が隠れていないかチェックをした。自覚症状がなくても、筋肉が薄い所や骨の近くを強めに擦るとしびれ感が誘発されたり、紙の角など少し尖ったもので左右交互にツンツンすると痛みの感じ方に左右差があったり、軽い障害を見つけられるかもしれない。私の場合、両足の甲と左手の手のひらを強く擦るとしびれ感が誘発された。足の甲はビンディングシューズの締め付けによるもので想定範囲だったが、左手の手のひらは3年前の1000kmブルベで荒れた路面の穴に気づかずもろに衝撃を手に受けてしまってギヨン管症候群になったときの範囲と同じで、治ったつもりでも残っていたことに驚いた。今後も症状が出やすいと思うので、労わりたいと思う。
 しびれ感が出ている場所より手前・上流の筋肉のマッサージやストレッチは効果的で、実際今回接骨院でも施術を受けた。ただ、筋肉がガチガチの状態で何気なくストレッチをしたのが引き金でしびれ感が出てしまったので、ストレッチの前にほぐす習慣をつけるか予防的に接骨院に行くべきだったと思っている。今後はケアを怠らずにしっかりしようと思う。今回はほぼ自己判断で片付けてしまっているが、これを読んだ人には、症状が広範囲に及ぶ場合や痛みが強いとき、痛みがなくても動きが悪いときは自己判断せずに整形外科の受診を勧めたい。
 サイクリングに感覚障害は避けがたいことかもしれないけれど、時にはそれを押してがんばって走らないといけないこともあるかもしれないけれど、多くの人が生涯スポーツとして自転車に乗りたいはずである。年を取ったときにも快適に自転車に乗れるよう、神経を大事にしよう。

コメント

  1. あっぴー より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    緩消法を試してみたら、片足のしびれが和らいだ。

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    神経の上流のほうの筋肉をほぐすのは合理的と思います。

タイトルとURLをコピーしました