完走! 神戸600VT 【累積標高8000m以上】

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 今年7月、神戸発着山岳ブルベ400 VT (バーリトゥード)を完走することができた(過去記録: 完走! BRM722神戸400VT 【BRM400km 100周年記念】)ので、600VTにも挑戦することにした。私の目標の中には4年後のPBPがあって、調べているうちにR10000 (Randonneur 10000・Audax Japanのサイト)の対象)という表彰があることを知った。その条件に、600kmで累積標高(獲得標高)8000m以上のBRMの完走というのがあって、600VTは対象となっている。去年は無理だと思っていたが、今年は仮眠を予定せず600km走ってみたり、SR600紀伊山地を旧時間の50時間で走ってみたりして(過去記録: 初めてのSR600・SR600KW (紀伊山地)、旧時間制限チャレンジ ~前編~)、うまくいけば成立するかもな、という感触が得られた。予定を調整してエントリーし、400VTを一緒に走ったりくらいまーさんとまた作戦を立てることにした。

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<目次>
□ 準備
□ 最短DNFの危機
□ 小入と遠敷
□ ディスクブレーキがほしい 1
□ タッグ解消の危機
□ 琵琶湖へ
□ ディスクブレーキがほしい 2
□ ディスクブレーキがほしい 3
□ 所感

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□ 準備
今回のコースはこちら。時計回りのビワイチ、広域基幹林道若狭幹線(通称: 若狭林道)付きである。
BRM909近畿600km神戸(甲) VALE TUDO Stage.4 若狭山脈

 過去のブルベでりくらいまーさんと一緒に走ったとき、夜間はよく眠いと言っていた。なので、先行してどこか仮眠を取ってもらって、私が通り過ぎた後に合流してもらおうと考えていたが、尋ねてみたら「寝たいわけではない」というよく分からない返事が返ってきた。600kmブルベが今回で2回目の人に仮眠なしの計画を提示してよいのかためらわれたが、自分が想像するペースのタイムテーブルを作ることにした。当初Ride with GPS(RWGPS)で10000m upのコースで、何とか30分の貯金が残せそうだった。最終的に通行止めによるリルートで、累積標高はRWGPSベースで1000m(実測で800m程度?)減り、1時間半ほど余裕を残してゴールできそうだった。主催Kさんの細やかなルート修正による累積標高の変化を、一喜一憂しながら見守った(直前までお疲れ様です&ありがとうございました)。
 過去、仮眠を予定していないときに眠気よりも困るのが、手やお尻の痛みだった。お尻が痛くなると乗車そのものがつらくなるし、姿勢が崩れて手に荷重が掛かりやすくなって、手の痛みにつながると思っている。なので、お尻に痛みが出ないようにするのが完走のポイントだと思った。お尻の痛みの理由はたくさんあるけれど、圧迫される時間が長いのが1つ。今回は登りが多くて踏む機会が多いので、普段よりはお尻の圧迫は避けられると思った。摩擦からの保護はプロテクトJ1(公式サイト)をもともと使ってはいたが、塗り直す手間を惜しんで痛くなってから塗ることが多かった。プロテクトJ1の持続効果は7時間ということで、およそ100kmごとに塗り直すように計画した。途中で着替えたりパッドをアルコール拭きしたり、できる限り清潔にするのも効果的と各方面で聞いた。今回は、水に流せるおしり拭きでトイレットペーパーの攻撃を回避し、パッドもこれで拭くことにした。パッド拭きも100kmごとに行うことにした。着替えを道中で受け取って脱いだ物を送り返すという手段が理想に思えたが、その手続きによる時間ロスが惜しかった。結果を先に言うと、600km程度ならこの対策でお尻の安寧は保たれた。
 暑さ対策は、前回の400VTのときと比べると最高気温が5℃ほど下がっていたので軽量化した。前回はハイドレーションに氷を入れて使用したが、溶けると背中が蒸してしんどかったので今回は使わず、ボトルを750ml×2本体制とした。前回体に水を掛ける手段がなくて困ったので、今回は300ccの調味料入れを水掛け用ボトルにした。

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これも結果を先に言うと、片手で扱えて使いやすかった。ハンドルに取り付けた保冷機能のないフードポーチの中に入れていたが、ぬるくなっても体に掛けるなら十分だった。
 以上のような対策をしつつ、簡易キューシートを作成。旧Twitterで知った方法を参考にして、スマホの待機画面の壁紙にしておく。

PC・フォトチェックと追加の休憩、左右の色分けはいつも通りに。やることリストは初めて作ってみたが、小休止で軽食の予定がしっかり食事に置き換わることが多かった以外は、なかなか使い勝手がよかった(ごはん: 食事、チョコ: 補給食を多めに買う、ソフトクリーム: 軽食、トイレ: お尻・パッドケアタイム、太陽: 日焼け止めを塗る)。
 あとは1週間前からカフェイン飲料をオフにして、カフェイン耐性を下げておく。普段は関西圏であればゴール後は電車で帰るが、今回は疲労困憊間違いなしなので後泊のホテルを予約し、翌日はそこから出勤することにした。ホテルに着替え一式を”ゴールするぞ”という意気込みで送った。

□ 最短DNFの危機
 神戸スタートのときは前夜に泊まる定宿があるが、今回は4時スタートなのでそれだと2時間くらいしか眠れなくなる。そこで、タクシー配車アプリのGOタクシーのAI予約を利用し、深夜に起きてスタート地に乗り付けることにした。タクシー会社の電話予約では早くても5時以降しか無理だが、このAI予約は”この地域のこの時間帯なら〇台までならマッチングするだろう”という見込みのもと、深夜でも予約の希望を出せる。あくまでマッチングなので確実ではないが、便利な時代になったものだ。軽く万超えの料金だったが、今回は家族が子守をしてくれるからベビーシッター代が浮いたと思えばトントンだった。
 スタート地点に到着して輪行を解除してみると変速がおかしい。タクシー輪行でも今回は自転車を座席に入れることができ、ディレイラーが何かに当たって歪むような場面はなかったはずなのになぜ…。クリックリリースの締め具合でロー側は使えるように調整し、何とか走れそうだった。
 ブリーフィング前に、400VTで一緒に走る時間が多かったムラマサさんと、りくらいまーさんと合流。信号が多くともそれなりに快適に走れる早朝の神戸の街を通り抜け、最初の登りの再度山(ふたたびさん)へ。増えた体重の重みを感じながらギアを一段階下げたところ、ガラガラという音がしてギアがうまく噛まず、ふらついて漕げなくなってしまった。トラブルのときはホイッスルで知らせるようりくらいまーさんと申し合わせていたので吹いてみたが、吹くのが遅かったのだろう、届かなかった。停車してペダルを空転させてみるとなぜか何とか進めるくらいにはなったのでしばらく進むが、踏み込むとガコンガコンというようになる。勾配が緩んだところでクランクを逆回ししてみたり、また一旦止まってペダルを回してみたりしたが、ひどくなる一方だった。最初のチェックポイントにもたどり着けないのではないか…と思っていたら、ペースを落としてりくらいまーさんが待っていた。ごく最近シフトワイヤーを交換したということを話から、ワイヤーの初期伸びかもということでテンションボルトの調整してもらうと解決した。輪行で急に変速の調子が悪くなるものなのか疑問だけども、おかげで最短DNFは避けられた。後日、この変速の不調の原因がケーブルの長さとフロントバッグによるものと判明した。

結束バンドで応急処置後の写真。もともとはケーブルはフリーだった。2ヶ所の結束バンドの間が折れていて、摩耗でワイヤーが露出しかかっている。ケーブルがフロントバッグで押されて、ステムのボルトに引っ掛かっていたらしい。フロントバッグを使い始めたときは、蓋にセットしたキューシートを見やすくするためにバッグが上に向くように細工をしていたので、それほどケーブルが圧迫がされず問題がなかったのだろう。ケーブルがちょうどこの取り回しだったこと、フロントバッグの細工が取れてしまったこと、この日は500g以上詰めていたことが重なって起こってしまった。

9.3km フォトチェック 再度公園入口
こうして、7分ほど時間をロスしてしまった。
 さて、下り基調でどんどん行くぞと思ったら、今度はフロントがアウターに上がらなくなった。まあ逆よりはいいか、とインナーで行くことに。下りで踏んで登り返しを楽に突っ込むという普段の走りがしにくくなった。
 約70km地点のコンビニで予定通りのコンビニ休憩。ここまで下り基調で信号も少なく、見込みより30分以上早く到着。次のコンビニ休憩は136km先のため、2回目の朝ごはんのつもりでしっかり食べて、お気に入りの補給食は多めに購入した。その間、りくらいまーさんが私の自転車に乗ってみて、フロント変速がレバーを押す角度によって動いたり動かなかったりすることを発見。10回に1~2回はうまくいくことも判明。これで平坦と緩い下りでスピードが乗りやすくなった。
 場所が定かではないが、途中でリスを見た気がする。本州では初めて見たので感動した。勾配のきつい登りはあまりなく、信号も少なく、しばらくは気持ちのよいサイクリングだった。


125km PC1 美山かやぶきの里。
貯金が増えたのでソフトクリームを食べてサイクリングを楽しむ。のんびりしていたら、外国人観光客の団体とのトイレ争奪戦に巻き込まれかけて焦った。

少し離れた場所にある「地蔵の湧水」に寄る。お風呂かのような貧相な見た目だったが、冷たくて味もよく穴場だと思う。

□ 小入と遠敷
 次の目的地は、関西では有名なヒルクライムのコース、おにゅう峠。一度は行ってみたいと思いつつ、自走で試しに行くには遠くて(ブルベを走っていて言うのもおかしな話だが)、今回が初めてだった。本格的な登りの前に2つのピークがあり、この辺りまでの勾配はそれほどきつくなかった。とはいえ、先は長いので停車して水分や補給食をしっかり摂るようにした。途中の気温表示は最高30℃だったか。石から流れ出る水を見て、りくらいまーさんがしきりに”岩清水飲みたい”と言っていた。動物がいる標高の水は私は遠慮したいので、携帯浄水器を持って来たらよかったかなと思った。段々と飲料が少なくなってきて、ペースを落とさないといけないか…と思っていたところで集落に入り、自動販売機が現れた! JA京都 久多営業所のオアシスであった。もう少し先にも1ヶ所あったが、ありがたかった。
 しばらく進むとムラマサさんに追いついた。おにゅう峠は進むにつれて勾配がきつくなり、各々のペースで登って行く。私が喋るのも苦しい中、お二人は雑談しながら登っている…。前を見ると目に入って来る勾配がしんどいので周りを見てみると、細かい柱状節理の岩肌が湾曲して露出していた。


187km フォトチェック おにゅう峠 石碑。
一度来てみたいと思っていたおにゅう峠。来てみたら、”この一度だけでいいかな…”と思った。なお、”おにゅう”の漢字は滋賀側は小入、福井側は遠敷だそうだ。遠敷は難読過ぎる。
参考サイト: 『丹後の地名』 若狭版 遠敷(おにゅう) 福井県小浜市遠敷
 峠からの下りも2人が先行。はがれやすい柱状節理のため、道には石がごろごろしていた。気をつけて下っているつもりだったが、大きめの石をうっかり見つめてしまって(凝視すると人間そちらに向かってしまいがち)、2回も避けきれず、前輪から変な音がするようになった。何が起こったか分からず止まってみるとパンクだった。気づいてすぐホイッスルを吹いたが、下りの風切り音で全く届かなかったらしい。が、チューブを外したところで登り返して戻って来てくださった。タイヤは、すぐに停まらなかったせいでいくつかピンホールが空いていた。いつもポンプに巻いているアサヒペンのパワーテープ(商品サイト) 48mm幅をちぎってタイヤの内側から貼って補強した。

チューブ交換を特にムラマサさんに手伝っていただいたが、最初にはめたはずの反対側のタイヤのビードが外れるという不可思議なことが起こった。リムの凹みに気づいたのは完走後のことだった。

 しばらくまた3人で下り、事前に調べていた湧き水地点「鵜の瀬の給水所」に寄る。ガチャガチャでお金を払う仕組みになっていたが、コインが入らない…。

水を浴びて涼し~ぃ、日向に出て暑~ぅ、というのを何度か繰り返した。鵜の瀬公園資料館のトイレも使うことができた。ここでちょっと時間を使ってしまった。
 もう少し下り、205km地点辺りのコンビニで休憩。見込みより30分の貯金があった。次はグラベルに突入して体力を消耗するだろうのでしっかり食べておく。食べていると、タイヤを首に掛けてビューンとやって来た参加者が。ハンドルに付けた犬のマスコットが目印のさこっちさんであった。パンクしてタイヤごと傷めても、まだ予備のタイヤ1本、チューブ4本あると…。タイヤは重いので置いて来たし、3回パンクしたら時間的に認定完走は厳しいだろうと思ってチューブ2本だけで来た私だが、もう少し持って来てもよかったかなと思った。

□ ディスクブレーキがほしい 1
 小浜からグラベル開始までは平坦だが、開けていて風が強かった。3人でローテーションできてよかったと思う。
 17時頃に若狭林道に突入。RWGPSで21.1km・672m up・655m downで、事前情報によると舗装とグラベル半々でロードバイクでも走れるが、アップダウンがきついとのことだった。

225km フォトチェック 広域基幹林道若狭幹線展望台 看板
ここまでは別に大したことはなかった。

3台並べて撮ったこの1枚が、このブルベでの写真で一番お気に入りだ。
 写真を撮ってほっとしたのが全くの間違いで、本番はここからであった。私が苦手な下りのグラベルに、勾配のきつい登りの舗装路で休めない。ひどいときは下りはブレーキを掛けながら足を回してバランスを取るので、うっかりブラケットポジションのままで「手が死ぬ~!」と叫びながら乗車していた。ディスクブレーキがほしい。登りでバランスを崩しそうなときは、ただひたすら頭の中で「漕げ!漕げ!漕げ!漕げ!」と唱え続けた。お二人は普段MTBで荒れた道に慣れていて安定している。りくらいまーさんの通り道はあえて難しめを選んでいるのではないかと感じられたので付いて行かず、ムラマサさんの通り道を参考にして、1ヶ所足付きするも100%の乗車率となった。夜の氷ノ山ストレートに比べたら比較にならないくらい楽だった。
 幸い私はトラブルなしで済んだが、ムラマサさんはこの林道で2回パンクに見舞われた。2回目のパンクのときにはだいぶ暗くなっていた。後ろからさこっちさんが来られて再会。さながらチューブ商人のようであった。ムラマサさんはチューブを4本持参されており、やはり皆さん準備がよい。チューブ交換が済んだところで、先に下らせてもらう。パンクによる時間ロスはしたくないので、やや荒れた舗装路もゆっくりめに下る。
 若狭林道を抜けて246km地点、最初に通るコンビニで夕食。ここまでは、もし誰かに”大変ですね”みたいに言われたとしても、”楽しいサイクリングですよ?”と言える気力があった。実際楽しかったし。でも見込みからの貯金は20分に減っていたので、やや急いで食べることにした。ここからしばらくは平坦区間と思っていたが、実際はやや登り基調で速度は上がらず。

268km フォトチェック 馬背峠(まじょうとうげ)トンネル
見込みからの貯金は15分に。
 貯金は減っているし、次のコンビニPCまで40kmもないが、途中で無性にコーラが飲みたくなってコーラ休憩を所望した。どこかの路地の右側で自販機を見つけ、全員コーラを飲む。ブルベ中のコーラはおいしい。
 305km地点、PC2のコンビニには予定の13分前。もともと長めの休憩予定だったが、駐車場の治安があまりよくなくて自転車を無人で置いておきたくなくて、さらに時間が掛かった。

□ タッグ解消の危機
 次は54km先の通過チェックのコンビニを目指す。しばらく登り基調である。りくらいまーさん、私、ムラマサさんの順で走っていたが、各々の車間が広がっていく。前の人のリアライトが見えなくなると途端に苦しさが増すのはよく経験しているので、前のりくらいまーさんと後ろのムラマサさんとの間隔を確認しながら走っていた。りくらいまーさんは登りで早めに進んで、停まって補給食を食べながら待ってくれることが多いので今回もそうだろうと思っていたところ、停車せずにかなり離された状態で八草(はっそう)トンネルに入って行った。”この間隔はヤバイ。ムラマサさん、ごめんなさい。”と思いながら、ペースを上げて追いかけた。3kmある八草トンネルに入ったときには、前方に走っている人がいると分かっているから、リアライトが光っていることが確認できるだけだった。トンネル内も登りで、登りの走力の差は大きいので、がんばっても差は広がる一方だった。リアライトが少しずつ小さくなっていき、遠くに見える警報ボタンの赤いランプより小さくなり、本当に点だけに。小さくなっても存在が確認できるCATEYEのTIGHTってすごいよね。
 トンネルを出てからは下りなので、トンネル内からは完全に見えなくなってしまった。やっとトンネルから脱出して、下りで追いつくのにも数分掛かったので、キロ単位で離されていたと思う。役割分担で私は夜間の眠気覚まし役を頼まれていて、代わりにりくらいまーさんが他の時間帯で前を多めに引くという話だったのたが、だいぶ事前の話と違っている気がした。やっと追いついたときには役目を放棄してやろうかと思った。ギア不調による最短DNFの危機を救ってもらったのを忘れて、ちぎってやろうと思って踏んでみたが、ちぎれてくれないので和解した。
 下りが得意なムラマサさんが追いついて来ないことを心配しながら、359km地点の通過チェックのコンビニへ。ここでムラマサさんのメカトラDNFを知る。そういえば、トンネル内で後ろのほうで短い叫び声を聞いたような…。しばらくするとハレバレさんが到着し、トラブルの詳細を伺うことができた。怪我はなかったそうで少し安堵した。
 時間は2:00前、ここで2回目の夜食。補給間隔が短いこともあって、甘い物が食べられなくなっており、カフェラテと梅、ゼリーを胃に入れた。補給食としてクリームパンをフロントバッグに。飲料は炭酸飲料のマッチを補充した。

□ 琵琶湖へ
 足湯のある道の駅 池田温泉を素通り。梅谷片山トンネルを通ってもよいとなっていたが、せっかくのVTなのでオリジナルルートの旧道を走る。道幅は狭い。こんな時間なのに車が1台やってきた。下りは苔で滑らないようにゆっくり走ったので時間が掛かった。

旧中山道の垂井宿(たるいじゅく)を通過。もっと趣があった場所を通ったはずだが…。
 国道21号線を西へ、琵琶湖に向かって進む。走っているうちに徐々に胃の不快感が出て来た。なぜ炭酸飲料を買ってしまったのか(スポーツドリンク系に飽きたからだけど)。炭酸が胃を膨らますような感じが気持ち悪い。なぜ塩分量の少ない飲料を選んでしまったのか。気温は涼しかったが登りが多くて発汗がおさまることがなく、塩分も失われることは分かっていたのに。胃が調子悪くなると気持ちが鬱っぽくなる。普段調子がよい時間帯なのに、せっかくの平坦基調なのにローテーションに回れなかった。鬱っぽさを何とかしようと思考を前向きにさせようとあれこれ自分を励ましてみたが、どうにも前向きになれない。原因はあれだ、さっきトンネル内から飛ばしたせいだ。仮眠を予定していない場合、深夜にがんばり過ぎることは避けて消耗を抑えるようにしているが、それを無視してしまったから胃腸に余裕がなくなったのだ。
 ノンストップで次の休憩地点の近江八幡まで行きたかったが、咳き込んだときに一瞬吐きそうになり、大変不本意ではあったが、深夜に飛ばす原因となったりくらいまーさんに休憩したいと申し入れた。30km手前の醒ケ井駅(さめがいえき)で停車し、胃によさそうな薬を探すが持って来ていなかった。仕方がないので、とりあえず塩分補給にツゥランを食べ、軽い風邪で咳が出やすかったので葛根湯を飲んでみた。しばらく走るとどちらが効いたのか分からないが、調子が改善してパンを食べられるようになった。琵琶湖に出ると追い風が助けてくれた。

夜明けの愛知川。
早朝になるとりくらいまーさんのペースが眠気で落ちてきたため、日が昇って来るまで少しだけ前を引いた。
 5:30頃、423km地点のコンビニに到着。25時間半走って2日目の朝である。普段の400kmブルベなら23時間前半で完走できるので、その差にげんなりする。ここではやることリストを見ながら、しっかり時間を取ることにした。お腹の軽量化もできて、ぼちぼち出発できるかなという頃に、りくらいまーさんが毛虫に刺された。ちょうどハンドルの上に、イラガではないと思うが、オナモミの実のようなしっかりとした毛虫がいた。脱いだ反射ベストに付いていたのではないか、とのこと。すぐに手を洗って、私が持って来ていた抗生剤入りステロイド軟膏を貸して、幸い痛みは続かなかったそうだ。

□ ディスクブレーキがほしい 2
 再出発すると追い風のサポートは減っていた。琵琶湖大橋は左側の自歩道を通って越えるが、狭く感じて少し怖かった。
 日が照って来て暑い。これからの登り、適宜自販機休憩を取ってPC3のコンビニを目指す。2人の休憩したいタイミングが合わず、休憩回数が多めになった。というより、暑さに強いりくらいまーさんの休憩回数が増えていた。後から聞くと、どうやら水分よりカロリーを欲していたようだが自身でも気づけなかったらしい。

日吉ダム・桂川・天若湖(あまわかこ)あたり。よい景色だったので停まって撮った。車の通りが多かったので、りくらいまーさんが怖がっていた。と思っていたが、後から高所恐怖だったと聞いた。
 477km辺り、賀茂川沿いを登る道がかなりきつかった。そこからどう走ったか覚えていないが、519km地点のPC3のコンビニに見込みより50分早く到着できたので、しっかり休むことにした。胃の調子は戻って来ていて、うどんなら食べることができた。水分補給を十分しておこうと、1時間近く掛けてルイボスティー600mlと抹茶ラテ440mlを飲んだ。抹茶ラテはさすがに多かったが、おかげでお腹の軽量化もできて、体調はよかった。
 ここからは地元北摂に近づくので馴染みのある地名が多く、がんばれそうな気がした。南丹のるり渓には初めて来た。累積標高はそこまで多くはないが、一旦下って登る部分があって勾配がきつく感じた。

記念に撮ってみたが、感動が薄い写真である。
 大阪の能勢に入ると、8kmほど下り基調だった。交通量が多くてスピードを出して下るのは怖かった。ずっと下ハンを持っていて、ただただ手が痛くてつらかった。これで両手ともギヨン管症候群(薬指の外側・小指・その近くの掌のしびれ感)になったのだと思う。ディスクブレーキがほしい(2回目)。ただこの道、ソロキャンプでお気に入りだったキャンプ場 杜のテラス(ブログ内検索)の帰路で、交通量は確かに多いものの、荷物満載でもブレーキングで苦労した覚えはない。腕力・体幹の疲労によるものだろうと思う。
 いつしか200VTと同じルートを辿る。”こんなとこ登ったっけ?”みたいな登坂がちょこちょこ出てくる。六甲山の前に、556km地点 PC4のコンビニに到着。この直前のしがない坂も、きついと感じるほどだった。
 用事を済ませて外に出ると雷雨になっていた。天気予報を見ると当分やみそうにない。相談の結果、登坂で暑くなるかもしれないのでレインジャケットだけ着て進もう、という話になった。レインウェアの着脱もタイミングを合わせないと時間のロスになるから、方針を決めておく。

□ ディスクブレーキがほしい 3
 出発したらすぐ雨が止んで日が出て暑くなり、最初の交差点ですぐ脱いだ。急いでいるときほどそういうものだ。
 200VTのときよりしんどいなーと思いながら、まず宝塚に出るまで登る。下った所でりくらいまーさんの自販機休憩に付き合うが、コーヒー飲料がおいしくないと感じる。味覚が変わってしまっている。
 有馬・船坂方面に登りは、足付きせずに登れるようになってから一番時間が掛かったように感じた。勾配自体はそれほどきつくないからか、全然状況にそぐわない思考や言葉がふっと浮かんでくる幻覚の前兆が出てきた。眠気はなく、誰かに話し掛けてもらえれば抑えることができるので、一緒に走る人がいると助かる。船坂近くで小雨が降って来たので、大沢(おおぞう)西宮線の高架の下でスマホとブルベカードを袋の中にしまうことにした。まだまだ登るのでレインジャケットは着ずに進む。
 ハニー坂は足付きをするのではないかと思っていたが、踏むペダリングができる筋力が残っていたので、ハンドルにぶら下がりながら脚を前に蹴り出すような感覚で踏んだら登れた。距離が短いので何とかなった。2回アップダウンして東六甲のルートに入る。その途中でトレラン集団に遭遇。下りは自分のほうが速いが登りは彼らが速く、邪魔したような感じになってしまい少し申し訳なかった。
 六甲までの勾配は、いつもの1.5倍ほどに見えた。りくらいまーさんがこの程度の登りでハンドルがふらつくのを初めてみた。私が立ち漕ぎすれば追いつけるくらいのゆるい速度で進む。きつい勾配が終わる宝殿ICを過ぎると、ほっとする間もなく雨が段々強くなった。一軒茶屋の手前のトンネル内でレインウェアを着た。一軒茶屋は通過点にすぎないのでスルーして六甲ケーブル山上駅を目指す。一応下り基調。しかし、アイウェアの調光カバーグラスに水滴がついて全く見えなくなった。カバーグラスを跳ね上げても、霧でライトの光が反射して、白い世界が広がり路面もよく分からない。地元で慣れているりくらいまーさんが水先案内人のごとく先行し、センターラインを確認しつつ後を追う。深夜にタッグ解消に至らなくてよかったと思った。

594km 通過チェック 六甲ケーブル山上駅
 ゴールはコンビニなので、ここでは休憩をせずさっさと降りてしまうことにした。ゴールまでは表六甲の下りだ。交通量が多い勾配のきつい下りなので普段は嫌な区間だが、時間が遅かったためか雨のせいか車は少なく、水先案内人もいたので何とかなった。ただ、やはり下ハンばかりなのがつらかった。リムに水が乗ってブレーキの効きも悪いし、手が痛い。ディスクブレーキがほしい(3回目)。
 貯金1時間でコンビニでゴール。下り切る頃には一旦雨は止んでいて、高度は下がったのに少し寒かった。イートインを利用しながらレシートなどを整理。ゴール受付までも水先案内人がいたので大変助かった。主催KさんがVTシリーズは今年で終わりと仰ったので名残惜しく、参加しなかった300VTは自分でトレースしてみようかなと思った。
 後泊は、ゴール受付に近い神戸三宮ユニオンホテルにしていて、ここから翌日出勤予定だった。自転車の室内持ち込みは輪行袋入りでないとできないものの、保管に理解のあるホテルなのでオススメである。事前の荷物送付・荷物預かりもできるし、コインランドリーも9:00~翌2:00で利用できる。

神戸三宮ユニオンホテル
三宮駅から徒歩10分、出張・長期滞在や観光に便利な兵庫県神戸市のビジネスホテル。


□ 所感
 何度も600km・8000m upを走りたいわけではないので、完走できてほっとしている。400VTと比べると時間的余裕はあり、きつい勾配が少なかったので最後まで使える筋力が残っていたのがありがたかった。
 ただ身体の負担はやはり大きく、両手のギヨン管症候群にはちょっと困っている。左は以前になったことがありしびれ感がすぐ出るし、右は今回が初めてだが1ヶ月経っても完全には症状が消えていなくて、タイポが増えたなと感じる。右足は足根管症候群が慢性化していて常にしびれ感がある。原因は乗り過ぎというより、以前は行えていたストレッチや筋トレの時間が取れないこと。基礎が弱いところと、最近伸びてきた心肺機能とがアンバランスだと思う。休養しつつ、自転車を生涯スポーツとしていきたいので機材の調整で何とかできるところは対処したいところ。山岳系やSR600は対処できてから挑戦したいと思う。
(´-`).。oO(VTシリーズの後継も挑戦できたらよいな…)
最後に、早々に書かれたりくらいまーさんの記事もどうぞ。
【ブルベ 600VT】BRM909近畿600km神戸(甲) VALE TUDO Stage.4 若狭山脈に参加した話

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