初の海外サイクリング、初の1200kmブルベにブロンプトンで行ってきた。本編part 3、2日目の夜から3日目のレポート。Part 1・2はこちら。


ファジャンシル オディエヨ Ⅱ
588km地点、CP8で折り返し、634km地点のCP9付近、완도(ワンド)に泊まる人が多そうだった。私も似たような計画だ。
CP8からは海岸線に沿ったアップダウンが始まる。暗く、たまに霧雨が降る。途中、眠くなったのでバス停で15分ほど寝る。暑かった昼とは違ってすごく快適。

ワンド大橋は路肩が広くて走りやすかった。交通量は多めで、変な物を踏んでパンクしないように気をつけた。
6/8(月) 1:20、634km地点、CP9 완도(ワンド)のコンビニCUに到着。
もう17km先の651km付近、고금도(ゴグムド・古今島)のコインランドリーまで行く。コンビニとガソリンスタンドがある好立地。のはずだったが、こうなった。

ファジャンシル、オディエヨ (# ゚Д゚)
ガソリンスタンドは2つあったが、どちらにもトイレがなかった。一応翌朝まで大丈夫そうだったが、”いざとなったら ―(自主規制)― “と開き直って、洗濯を済ませて寝た。ここは両替機がなくて、前日にたくさん500ウォン玉にしていたのが役に立った。洗濯乾燥機はないので連続では眠れないが、昨晩よりは眠れたので回復感はあった。
朝、ルート上のガソリンスタンドで無事トイレにありつく。隣がコンビニだったので、ついでに朝食にする。
なんかね、業務用ドレッシングじゃないかと思うくらいの大きさのヤクルト(類似品?)が売ってるんですよ。誰かと分ける前提だと思うサイズだけど、ブルベで買うのだなぁと。
さかずきのように持ってぐいっと飲みながら、ガソリンスタンドでもトイレが見つからないとTwitter (X)で愚痴っていたら、
韓国在住中にブルベを走っていたN나A오O(なお)さんからありがたい情報をいただく。道中で警察署・交番を見た覚えがなくて、”ないわけがないよな”と探しながら走っていると、黄色の鳥(ワシ)のマークが町ごとにあるのが分かってきた。おかげで、ようやくトイレ問題の不安が解消された。
7:58、CP10 회진(ホェジン)のコンビニ CUに順調に到着。さすがにもうパスタをそのまま電子レンジに突っ込んで破裂させることはない。
ッパㇽリ!
この日は曇りで、気温は走りやすかった。

漢字が珍しく、思わず撮った1枚。682km地点辺り。산라(シㇽラ・新羅)の長水黄氏と慶州金氏を讃える石碑と思われる。
農家の女性たちが、親しみのある蛍光色のベストを着て草取りをしていた。地域で決まった作業の日なのだろうか、しばらくこの光景が続いた。

とある曲がり角、おばあさんの1人が「빨리! 빨리!」(ッパㇽリ! ッパㇽリ!)と腕を回しながら、声援を送ってくださった。”早く! 早く!” 本編①の副題 パリパリのことだけど、日本人には発音が難しい。本物の”ッパㇽリ”を聞けただけでも、走りに来た甲斐があった。フランスのPBPを象徴するのが”Allez! Allez!” (アレアレ)だとしたら、韓国のLRMではきっと”빨리! 빨리!”だろう。
向かい風
声援の効能はしばらく続いていたが、徐々に失われていった。なんせこの日はずっと向かい風だったから。

この日の行程は、北上してちょうど真ん中あたりまで。ブロンプトンのペースに合う人がいるわけもなく、ずっと一人旅。体力は消耗し、速度は落ちる一方だった。
山肌の謎の壺の絵を見たり、

きつめの坂(といっても8%くらい)の上から立派な道路を眺めたりしているうちに、

11:50、731km地点、CP11 해남(ヘナム)のコンビニ GS25到着。折り返し地点がヘナムだったので、100km超走ってもまた同じ地名なことに若干混乱した。
きちんと整備しているブロンプトンだが、長時間乗っているとブロンプトンのシートポストが少しずつ落ちてきていて、サドルが低いと足に負担が掛かり、高いとお尻の圧迫感が強くなって痛くなる、というのを繰り返していた。
水田を見ると癒されるが、

農村地帯は風を遮る物がない。
13:56、755km地点、CP12 독천(トクチョン)のコンビニ GS25(CP7と同じ)。グロスが13.7km/hと、かなり落ちてきた。
問題とは足・お尻の痛み、フロントバッグの左右のアンバランス、サイコンの電池が減ってきたことなど。遅れてきたときほど冷静になるべきだと考えた。

”シャワーなしで気持ち悪くなかったか”、と完走後に何人かに聞かれたけれど、毎晩ウェットティッシュで全身を拭いていたし、トイレの手洗い場が蛇口でなくてホースの所があったら水でざっと洗髪したので、数日くらいでは特に問題なかった。
18:36、822km地点、CP13 삼거(サムゴ)のコンビニ GS25(CP6と同じ)。往路では見つけられなかった建物内のトイレは、ほかの参加者の会話で存在を知った…。
補給はといえば、先行者が買い占めた後なのだろう、好みの食べ物が見つからなくて、無理なく食べられそうな物をがんばって探した。停車時間が35分だったので、かなり悩んだのだと思う。
開き直ってネタに走ってしまっている。容器が飛び出してきそうでビミョーと思ったが、それに関しては容器の口をへこませて、フードポーチの上を少し縛っただけで問題なし。ただ、最後のほうになると底にあるチップスに指が届かなくてビミョー。
バッテリー
暗くなってきたので、スマホ1台をモバイルバッテリーにつなごうとしたところ、残量が4分の1しかなかった。原因は、ドロップバッグでバッテリーを交換したのだが、夜が多い後半に容量が少ないものを回してしまったことだった。また、1つ前のCPから両端Type-Cで給電していたサイコンが、すごい勢いで吸い取ったっぽい。早めの充電が裏目に出た。残量が心もとなさすぎる。が、この日は2つ先のCP15(CP4と同じ)付近の初日と同じコインランドリーに寄るつもりで、そこにスマホの充電端子がサービスで置いてあったのを思い出した。運はまだ味方している。
この日の夕焼けはきれいだった。向かい風もおさまってきていた。

次のCP14までは62kmで、전라남도(全羅南道)と전라북도(全羅北道)の境まで登って下る。この区間、全く覚えていない。どこかで交番トイレに挑戦したところ、紙が流せてきれいだった上に、警察官は親切で水が必要か尋ねてくださって、外でお見送りまでしていただいた。オール韓国語で물(水)と자전거(自転車)しか聞き取れず、疲労で単語が全然出てこなくて”ヘナムから来てソウルまで行く”というのを何とか伝えて、お礼を言って先に進んだ。
23:16、884km地点、CP14 정읍(ジョンウッ)の엘리제궁 모텔(エリゼ宮モーテル)に到着(CP5と同じ)。有人チェックになっていて飲食を勧められた。
コメントが少なくて疲労がうかがえる。冷えているといっても、15℃以上なので全体を通して防寒着は要らなかった。でも辛いラーメンがおいしい。
近くのコンビニでコーヒーを飲み、次のCP15までの62kmに備える。ここまで一応計画通りの時間だが、もっと余裕が欲しいと感じていた。バッテリー残量のことがなければ、コインランドリーに寄らずにそのまま進んで適当に仮眠したいところだった。
半分ほど行った所のバス停で仮眠した後、残りの半分がどうにも眠気を催す要素しかなかった。平坦基調で街灯がなく、先行者も見えなければ後続者も来ない。”眠ければコーヒーを飲めばいい”と思っていたが、店などないし、韓国には道端に自動販売機もない。カフェイン錠剤というのはこういうときに使うものなのだろう。邪道だと思っていたが、それは日本の普通の道しか走ってこなかったからだった。休むにもバス停すらない。気づいたら、薄雲の掛かった月を見上げながら押し歩きしていた。
約60kmを5時間近く掛けて、ようやくコインランドリーにたどり着いた。計画通りに行くなら出発しないといけない。が、絶対に寝ないといけない。スマホとモバイルバッテリーをありがたく充電させてもらう。洗濯しないで寝たいが、それでは盗電になってしまう。まあ気温が下がる早朝に、乾燥したての暖かいウェアを着たら気持ちよかろう。残り255km、18時間で走ってくれたまえ。
明日の自分に託した。


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