完走! BRM722神戸400VT 【BRM400km 100周年記念】

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 去年挑戦して完走できた神戸発山岳ブルベ400 VT (バーリトゥード) (過去記録: 完走@BRM521神戸400VT)、今年も挑戦しようと年間予定が出るなりチェックすると、7月にBRM400km 100周年記念(センテニアル)として開催されると判明した。完走すれば購入できる100周年記念メダルも欲しいけれど、一昨年の200km、去年の300kmは持っているし、自分にとっては挑戦のほうが大事かなと思い、エントリーすることにした。ただ、エントリー前にコースを見て大きな不安が…。
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<目次>
□ 準備
□ ウキウキ、集団走行
□ トンネルと湧水は癒し
□ 自分で選んだ道を進め
□ 宵っ張りに平坦
□ いつものあの場所
□ 所感

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□ 準備
 400VTの正式名称は”BRM722近畿400km神戸(甲) VALE TUDO Stage.3 氷ノ山1周”。最大の特徴は、瀞川(とろかわ)・氷ノ山(ひょうのせん)林道(氷ノ山ストレート)という大きめの小石が浮いているグラベルが含まれること。一方で累積標高はRide with GPSで7407mと、VTシリーズの中では抑えられている。

↑去年の写真。小石の粗さが伝わりにくい。
今年はさらにグラベルへの突入が夕方以降になり、大段ケ平(おおだんがなる)という所までグラベルが追加になりグラベル区間が増えた。

“これは危険が危ない”と感じ、4月にフレッシュを一緒に走ったりくらいまーさん(旧Twitter)を召喚。二つ返事で同行を引き受けてもらった。MTBにも乗り、ヒルクライム通勤をするりくらいまーさんと、ブルベと平坦路通勤しかしない私とではグラベル走破力・登坂力の差が圧倒的なので、私は去年の経験と走行ログから走行計画を立てて完走確率を高めるのに寄与しようと考えた。108km地点のPC1までと285km以降はほぼ去年と同じコースで、特に終盤の疲労が蓄積してからの実走データを持っているのは仮想クローズ時間を設定するのに役立った。その他、トイレやゴミ箱(リサイクルボックス)なしの自販機で困った経験から、自販機休憩・トイレ休憩の場所はある程度決めておいた。
 グラベルを走るにあたって、りくらいまーさんに強く勧められたのがフルフィンガーのグローブだった。転倒で石で指が切れる可能性があると。正直、長指手袋はスマホが使いにくくなるし、爪と指の間に縫い目が当たって不快だし使いたくなかったが、しぶしぶいくつか試してみて、最終的にエルゴグリップ ロングフィンガーシックパッドを使うことにした。

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(楽天市場)
使い始めはちょっとパッドが過剰に感じられたが、使っているうちに軟らかくなってちょうどよい感じになった。フルフィンガーだが蒸してつらくなるような暑さはなかったし、濡れても比較的乾きやすいように思った。スマホの反応はどの手袋も大差なかった。
 車体・ハード面の準備は去年から徐々に進めてきたので、直前に特にというものはなかった。スプロケットの最大ギアを28Tからリアディレイラーの変更が要らない範囲で30Tへ。タイヤは今年5月までは普通のグラベルキングの23Cを使っていて、過去に26Cだと車体にぶつかって入らなかったので、無理だと思い込んでいた。が、某工房でホイールのオーバーホールのついでに試しにもう一度26C装着をお願いしたら、クイックリリースを抜けば取り付けられると判明…。何年間も損した気分だった。23Cから26Cに変えて、漕ぎ出してからスピードに乗るまで若干時間が掛かるような感触はあるものの、スピードに乗れば差は感じられず、特に凸凹道の登りでふらつきにくく漕ぎやすくなり、全体としてはメリットのほうが大きかった。
 夏場なので、特別アイテムとしてハイドレーションを準備した。手持ちのレイドライト(Raidlight)のハイドレーションベスト Activ 3Lとプラティパス(platypus)の2Lのハイドレーションパックを組み合わせて、氷を入れて使うことにした。

コンビニで売っている1.1kgの氷ががほぼ全部入る容量だ。このベストが容量のわりに重く(260g)、後半使わないときはサドルバッグに入れる必要があり、かさ張るし重いしちょっと厄介だった。
 グラベルの練習は大してできなかった。りくらいまーさんのグラベル走行を見る機会があったがマネできるわけもなく、どこを通るかを見てすぐ決めないといけないこと、どういう路面がどういう挙動をするか慣れないといけないこと、くらいを理解するに留まった。また私の場合、右側に転ぶとクリートが外せずなすすべがなく倒れてしまうのも問題だった。少しでも何か対策しようと、1週間前から3本ローラーでインナーロー低ケイデンス練習と、軽めのギアで特に右側のクリート着脱練習を何回かした。このローラー練はある程度有用だった。
 体調は、実は3週間前に走ったSR600のダメージが抜け切っておらず、本来ならストレッチと筋トレをして備えるところをケア優先にせざるをえなかった。そしたら体重は去年の400VTのときより1kg重くなった。今期のブルベで一番重かった…。カフェイン断ちは最近慣れて、1週間前から1日にコーヒー1杯、2日前からカフェインオフと順調にできた。夏場なので前日に水を2Lほど飲むハイドレーションをしようとしたが、そんなに水ばかり飲むこともできず、せいぜい1Lくらい飲んで終了。

□ ウキウキ、集団走行
 前夜は定宿に泊まり5時間睡眠。当日は輪行解除し、最寄りのコンビニへ。午前中はそこまで暑くないだろうと、氷を500gだけ買ってハイドレーションにセットした。ゴール後の着替えなどを駅のコインロッカーに突っ込んで受付へ。去年は当日出走4人だったが、今年は20人くらいと大盛況だった。なんだか楽しくなってきた。
 スタートして最初の登りは再度山(ふたたびさん)。増えた体重とハイドレーションの重みを感じるが、いつもと同様にスタートから約50分で到着。調子はよい。

9.3km フォトチェック 再度公園入口
下りは通勤路で慣れているりくらいまーさんに先行してもらう。24kmくらいで私が前に出たくなってすっと先行すると、名刀ムラマサさんがローテーションに加わってくださった。もともとりくらいまーさんと3kmごとで先頭交代する計画だったが、そのタイミングでスッと出て来てくださるので大変助かった。信号待ちでふと後ろを見ると、最大で9人集まっていた。このコースでこれだけ一緒に走れる人がいることに嬉しくて、調子よく走った。
 去年と同じように60km地点のコンビニで休憩。水を体に掛けたり、氷や飲料を補充したり、ジュースとお菓子を摂取したり。この間に集団はばらけ、ここからは2人でローテーションを回していく。

姫路城は撮り損ねたので青看板を撮影。梅雨明けの夏空が伝わるだろう。
姫路付近は交通量が多く、普段通勤で車との喧嘩(?)に慣れている私が長めに先行した。
 宍粟(しそう)に向かって北上し始めると緩い登りとなる。交通量が減ってりくらいまーさんが先行するようになると、ついて行くだけで必死になってしまった。前に出るのが厳しい速度だったが、フレッシュのときにがんばってもらい過ぎて後半で足を痛めてしまうエピソードがあったので、3km交代を守って抑えたほうが無難だろうと考えた。必死で前に出て声を掛け、ペースが落ちることを断って、自分のペースで先行して休ませてもらった。あれ、普通後ろのほうが休めるのでは…。
 こうして108km地点のコンビニPCにちょうどお昼時に到着。暑いこの季節に去年と同様のグロス20で来れたのはローテーションのおかげである。登坂遅め&グラベル歩き多めだと、この時点でこのくらいのペースは欲しい。しかし、PCに到着する少し前に頭が痛くなり、ヘルメットを緩めても改善せず、早くも暑さのせいなのだろうなーと思っていた。いつも暑さでやられるときは軽い嘔気と寒気が出るのだがそれはなく、唐揚げ、おにぎり2個、カットフルーツ、カルピス1本を平らげ、水浴びして回復に努めた。コンビニにはしばらく寄れないので、氷、飲料、インゼリーを補充しておく。

□ トンネルと湧水は癒し
 ここからまず戸倉峠に向かう。途中で以前のブルベ(過去記事: 神さまのいるほうへ)で通ったことのある道だと思い出す。りくらいまーさんも直近の600kmブルベで走った道らしく、各々の思い出話をしながら登って行く。
 リスタートしてから20kmくらいだっただろうか、あまりに暑くて水浴びしたくなったので、事前に調べておいたお店併設の自販機で休憩したいと申し出た。一方のりくらいまーさんは暑熱順応力が高くて平気そうで、でも冷水をキャメルバック(CAMELBAK)のポディウム・チルに用意周到にセットしていて、これ以降日が暮れるまで何度も水を掛けてもらった。以前はより保冷性能の高いポディウム・アイスを持っていた私だが、重いくせにすぐぬるくなるのが気に入らなかったのでほとんど使わずにフリマに流した。冷たさを期待して飲むには不適だが、体に掛けるのならチルのほうでも十分なのだなと実感する。実は自分でも体に掛ける用の水を入れたソフトフラスクを準備していたが、ソフト過ぎて片手で水を押し出すことができず、使いこなせなかった。マヨネーズかケチャップの空ボトルが欲しくなった。
 塩分もタブレットで十分に取っていたつもりだが、右太ももの裏が攣りかけた。と同時に、元祖そうめん流し みやなかに到着。自販機だけ利用するつもりだったが、ラッキーなことに無料の湧き水スポットもあった。りくらいまーさんのポディウム・チルを借りて水浴びし、柿ピーをお裾分けしてもらい、自販機で何かレモン風味の飲料を飲んで休憩した。私は柿の種が嫌いで普段ピーしか食べないのだけれど、うっかり食べてしまった柿がこのときはおいしくて、パサつきはあるものの夏場の補給食としてはアリだなと思った。
 新戸倉トンネルは涼しくて極楽であった。ここからはしばらく下りを楽しめたが、終わりはあっという間であった。国道482号線に入って氷ノ山・小代(おじろ)峠に向かう前にトイレ休憩を済ませる。𣇃米(つくよね)川に沿って、日陰のない道を登って行く。途中で電光表示板の気温が33℃から34℃に変わる瞬間を見た。主催のKさんの試走時は38℃だったそうな。それに比べるとだいぶマシである。がんばれそうな気がした。耐えていると、茗荷谷(みょうがだに)ダムの手前で茗荷谷トンネルに入る。トンネルに入ると涼しくて思わず安堵の声が漏れた。
 ダムを過ぎてもう1回恵みのトンネル、わかさ氷ノ山トンネルを過ぎると、一段と勾配がきつくなった気がした。補給は期待していなかったが、道沿いに商店併設の自販機を見つけ、臨時休憩とした。この自販機には水がなくて、近くの農業用水(?)を見ながら「あそこに頭を突っ込みたい」とつぶやいたところ、りくらいまーさんに冷静に”もう少しで(フォトチェックポイントの)水があるから”というようなことを言われて止められた。
 さらに登ること2.5km、長く感じた2.5km、フォトチェックの氷山命水(ひょうざんめいすい)に到着。


ダバダバ、ドバドバ、ドドドド、と水量がすごかった。動画に撮るべきであったか。1L持ち帰りにつき破格の30円とのことで、ありがたく頂戴する。
 この時点で、PC1で補充した氷1.1kgが、私のレイドライト+プラティパスのハイドレーションでは氷がほぼゼロだったの対し、りくらいまーさんのキャメルバックのハイドレーションのほうには氷が残っていた。私のレイドライトのハイドレーションベストのほうは表がメッシュで、氷が溶けやすかったのかもしれない。私がバックパックを使う場合に必要条件としているのが、ベストタイプであること・肩紐が軟らかいメッシュであること(この条件を満たさないと肩紐が擦れて痛い)、肩紐にポケットがあること(走行中にポケットに入れたフラスクからゼリーを飲む)でキャメルバックは選択肢から外したのだが、保冷機能にここまで差があると悩んでしまう。これからハイドレーションを購入しようとしている人は、何を重視するかの参考にしてほしい。キャメルバックに関しては、りくらいまーさんの記事が詳しいのでリンクを貼っておく。
ヒルクライム自転車通勤ブログ:
【熱中症対策】キャメルバック ハイドロバッグライト2.5のレビュー

□ 自分で選んだ道を進め
 小代峠を越えると一気に下りだ。戸倉峠を越えて進入していた鳥取から兵庫に戻る。

小代に下ると夕立の痕跡があった。速い人は遭遇しているはずだ。速くてもそれなりに苦労があるのだろう。
 小代のどこかの自販機で飲料からカロリーを搾り取る予定だったが、運よくフードショップまとばが開いていて軽く補給することができた。グラベルに入ると補給場所はないが、アドレナリンが出て空腹感が出ないことも経験上分かっていたが、予定時刻より早く来れていたし、食べられるときに食べておくに越したことはない。
 182km、時刻は17:30頃。いよいよVT本番へ。最初10kmはまだ舗装路。日が落ちれば涼しくなると期待していたが、雨上がりで蒸し暑かったのが誤算。先は長いので疲労し過ぎないようゆっくりめのペースで登っていく。追加の補給は諦めていたが、郡主神社と水車小屋とろかわの間に1ヶ所自販機があり、思わず休憩。

小一時間登ると雲がうっすら掛かった少し幻想的なよい景色が。ただし、まだ蒸し暑い。
 10kmを1時間ほど掛けて登り、いよいよ192km地点からグラベルに突入。グラベルを迂回するルートもあらかじめ提示されていたが、迂回する気は1ミリもなかった。最初はまあ乗れるな、という感触だったが、段々とどこを進んだらいいのか分からなくなり降車、歩く。また乗れそうな所で乗る。りくらいまーさんは先に行き、時々停まって様子を伺って待っている。あまり待たせたくないのでできる限りがんばって乗る。


19:00頃、はちまき展望台にて。必死すぎてよい景色にもあまり感動しなかったが、りくらいまーさんが撮るというので一応撮っておくことにした。
 ここまでは登り基調で軽いギアで回すことを意識していればわりと乗れていたが、徐々に浮いている砂利が多くなってきてタイヤが空転するようになる。そして暗くなる。りくらいまーさんは先に行くので、後を付けようとしたが離れすぎて追跡できなくなるし、私では通れない場所を進んで行くのであまり参考にならず、暗い中で自分が通れそうな場所を必死で探した。ハンドルが変な方向に取られてライトはそっちを照らし、自分が進みたい方向は何も見えない。ライトで道が照らされた瞬間に行きたい方向を決め、ハンドルが取られようと変な方向に進もうと、暗闇の中の行きたい方向をじっと見て漕ぐと、バランスが取れていれば自然とそこに戻って来る。ここでは過程が大事なのではない、結果(進んだ方向)が大事なのだ。たまにタイヤの跡が見えてそちらに進むが、うまく進めるとは限らない。人が漕いだ跡であろうと自分が選んだ道なのだから結局自力で進むしかない。1週間前から始めた3本ローラーでの低ケイデンス練習の成果は、一応発揮されて想像していたよりは乗れたのだった。
 とかなんとか自分なりにはがんばったが、途中で両脚が攣るし、疲れて漕ぎ出せなくなるしで、りくらいまーさんには何度も何度も待ってもらった。りくらいまーさんは浮いた砂利のところも上手に発進していて、足付きは余儀なくされるも全乗りできたとのこと。私は氷ノ山ストレートの浮いた砂利にどうにも対処できず、特に下りは下ハンドルでないと制御できないくらいの勾配だが下ハンドルでバランスが取れるイメージができず、怖くて押し歩きが多かった。乗車率は5割から6割程度だっただろうか。
 最後のほうで動物の気配や鳴き声がしたが、無事にフォトチェックポイントに到着。

フォトチェック 広域基幹林道瀞川・氷ノ山線看板
ここで車中泊かキャンプしている人がいた。ひさしぶりの我々以外の人の気配だった。しばらくして名刀ムラマサさんに再会。迂回路に気づかずにオリジナルルートを走破されて来られていた…。
 ここからハチ高原スキー場へ一旦下る。下りでライトの方向が合ってなくて全く先が見えず、停車して調整していたところ、りくらいまーさんに心配されて登り返しさせてしまった。何から何まで申し訳ない。下りの途中で合宿中と思しき子どもたちに遭遇した。まさか山のほうからこんな夜に自転車が降りて来るなんて思わないだろうなぁ。夏のハチ高原はとても賑わっていた。自販機の飲料の選択肢が少ないのではないかと思いながら寄ったが、ハイドレーションの水が残っていることに気づいたので追加では買わず、持参していたVAAMパウダーでドリンクを作り出した。以降、ハイドレーションはサドルバッグにしまい込んだ。
 下ってまた大段ケ平に向かって登り始める。事前に調べておいた水洗トイレに寄る。少し進んだキャンプ場では自販機が稼働していた。意外とこの季節、グリーンシーズンなので補給は何とかなるようだ。
 ここからのグラベルは、ブリーフィングでロードバイクでも乗れるという話だったので、意地でがんばることにした。といってもやはり降りてしまう所はあったが、押し歩きは轍の移動のみにした。どちらを通っても大差ないはずなのだが、隣の轍はきれいに見えるのだ。時折下りがあったが勾配は前半ほどはきつくなく、後輪荷重を意識する余裕があってコントロールできた。最後のグラベルを抜けた所で、りくらいまーさんが先行して登って行った。とほぼ同時に、私は空腹で進めなくなってしまった。グラベルが終わったとは分かっていなかったのに、道への対処が楽になったタイミングで一気に空腹がやってきた。停まって食べると時間のロスになるので、フロントバッグから何とかパンを取り出して頬張り、カタツムリのようにじっくりと登る。

フォトチェック 氷ノ山中央駅・大段ケ平看板
あまりの空腹に、写真を撮るなり補給食を貪り食う。りくらいまーさん、待たせたのに無言で申し訳ない。
 ここでもキャンプだか車中泊だかをしている人たちがいて、声援をもらいながら傍らを通り過ぎた。

□ 宵っ張りに平坦
 しばらく長い長い下り。

ぶなのしずく(やぶ市観光協会のサイト)で停まり、りくらいまーさんだけ水を補充。日が落ちるまでかなり私の冷却に水を使ってもらったからなー…。
 日が変わり0:30頃、下界で最初に通過するコンビニで遅い夕飯に。私は地面にいる名前の分からない立派なカミキリムシを眺めながら、おにぎり2個+スイーツを食し、マウントレーニアでカフェインを投入。がっつり食べているりくらいまーさんには申し訳なかったが、次28kmを2時間で行く必要があることを伝えた。遠阪峠(とおざかとうげ)を越えなくてはならないけれどまあ行けそうだよねと、ほどほどのスピードで登り・下り以外はローテーションして進んだ。
 遠阪峠はそれほど勾配はきつくなく、余裕を持って285km地点の通過チェックのコンビニに到着。ここからの飲料はレモン系に切り替えた。三ツ矢ストロングレモンがおいしい。サンドイッチで軽く補給し、緑茶でカフェインも足しておく。
 ここからしばらく平坦。去年の経験から、未明のこの時間はあまり貯金は増えないと分かっていた。りくらいまーさんが前を行くときは、ほとんど車は来ないが右後方をチェックし プレッシャーを掛け、ペースが落ちてきたらそのまま前に出て引く、というのを繰り返した。もっとも、この日Garmin Edge1040のナビゲーションのアラートが作動せず、後ろから道案内されている状態であった…。
 4:00頃に322km地点、PC2となるコンビニに到着。仮想リミットは、滞在時間の15分か20分差し引いて設定した4:05 (PCクローズは4:28)で、余裕がないわけではないができる限り早く出発したかった。プリン、インゼリー、マウントレーニアを摂取し、日焼け止めを塗り直す。もうコンビニに寄らずにゴールを目指す可能性もあったので、キットカットをフロントバッグに足す。レモン飲料は見つからなかったので、炭酸飲料のマッチを選択。りくらいまーさんを急かして4:10には再出発。
 次のフォトチェック、川下川ダムまでにいくつか登りがあることが記憶から欠落していた。平坦を走る筋力は残っていても、登坂で脚を回すのに支えとなる腰がかなり消耗してしまっている。登りではりくらいまーさんと差が開き、ゆっくり下ってもらっているところに追いつくというのを繰り返した。”ダメだな~、体重も増やしてしまったしな~”というマイナス思考に傾いてトボトボ走りかけていたが、登りとグラベルでたくさん待ってもらったりくらいまーさんには時間内完走をしてもらわなければ、と思い直す。何とか思考をポジティブにしようと考えて、そういえば去年は心が折れそうになったときに低次元で自分を励まし続けたことを思い出した。今回はどうしようかと振り返り、「グラベルを6割も走れたなんてエライ!」(盛ってるけれど)と気持ちが切り替わるまで頭の中で唱え続けた。
 一方、平坦になるとりくらいまーさんが眠気を訴え始めた。去年、私もこの区間で眠気のためあまり速度が上がらなかったので気持ちはよく分かる。今年は序盤からのローテーションのおかげで体力は残っているし、眠気も全くない。「ここががんばりどころです」と声を掛け、”ついて来い!”とばかりに30km/hで引く。私の登りと平坦の差が激し過ぎる。

5:45頃、フォトチェック 川下川(かわしもがわ)ダムに到着。1人の参加者に会い、”寝ましたか?”、「400では寝ないんです」みたいな会話をした。このコースで眠れる時間を確保できる人はすごいなぁ、と思った。暑くなってチョコが溶ける前にキットカットを食べたくて、ここで軽く補給した。煽った がんばった甲斐があって仮想リミットに対して貯金は30分くらい確保でき、シンプルなパンク1回なら耐えられるようになった。

□ いつものあの場所
 ここから西宮・有馬方面へ少し登る。交通量もそこそこ多いし疲労もあるので、より安全に気を配る。船坂の交差点に着いた時点で仮想リミットから30分の貯金を維持できていたので、ここのコンビニに寄ることにした。トイレに行って、飲料にまたマッチを継ぎ足して、インゼリー2つを摂取。7時だというのにすでに暑くなってきていて、水浴びも必要だった。りくらいまーさんはしっかり休んでから六甲山に向かうとのことで、先に出発させてもらった。
 まずはハニー坂。去年はこの前からそれほど急勾配でなくてもノロノロしてバランスが取りにくくなってしまっていて、ハニー坂の一番きつい場所は押し歩きしたが、今年は大丈夫。とは言っても、ここで脚が攣るようなことがあればラスボス六甲山に挑めなくなるかもしれない。じわーっとゆっくり登るカタツムリ走行で脚への負担をギリギリに抑える。2回ほどある下りは、去年は体幹の力を使い切って車体を倒せず失速していたが、今年はそこまで減速しなくても下れた。
 東六甲のコースに合流してからがみんな大好き六甲山ヒルクライムの本番。段々腰が痛くなってくる。道中、お掃除ライダーさんたちに応援してもらう。不安定なはずのナップサックにゴミをいっぱい詰め込んで背負って走ったり、自転車より早く押し歩き(走り)したりする強者の皆さんであった。芦有ドライブウェイの手前のきつい勾配で苦しんでいるところでりくらいまーさんに追いつかれ、先行される。
 普段ならヒルクライムのゴールになる一軒茶屋では休まず、しばらくアップダウンしていつものあの場所へ。

フォトチェック 六甲ケーブル上駅
登り切ったものの、腰が痛くてしばらく動けなかった。駅の自販機で休憩してから、10km先のゴールまで表六甲を下っていく。表六甲も勾配がきつく、腰が痛い状態で下ハンドルでずーっと下るのは結構しんどかった。

最終的に貯金を維持したままゴールの灘区民センターへ。
 そしてゴール受付のマクドナルドへ。BRM400km 100周年記念のメダルは数量の都合上後日におあずけになったが、今年はオダックス近畿のピンズをSR相当揃えることができた。


□ 所感
 走り終わった直後の感想は、まさしく“疲労困憊”であった。走った後に疲労を感じたり体が痛かったりすることもあるし、なぜか力が出し切れなくて納得いかないこともあるけれど、”疲労困憊”となるブルベは初期しか経験していない。なので、やっぱりきついと思う。
 去年はVTシリーズに初めて挑戦し、平坦と下りで何とか辻褄を合わせて完走したものの、自分のVTのイメージとしては邪道な攻略法に感じていた。今年は、コースが前回と似ていたので正確に走り方をイメージすることができ、事前の対策もできたと思う。何より単独走にならなかったのは今回有利に働いた(トラブルが倍になるリスクもあるが…)。私は登坂力が高くはないし、グラベル走破力があるわけでもなく、それでも使えるものを全て使って挑んだという意味で、自分にとってVTは総合格闘技だった。ツイッターでのやり取りで、バーリトゥード(Vale tudo)というのが総合格闘技を示すことを知ったのは、完走してちょっと後のことだった。
 次に何に挑戦したいかといえば、やはり”いつものあの場所”に戻って来るブルベではある。それとは別で、この記事を書くにあたって氷ノ山周辺の地図を見直してみると、行ってみたいキャンプ場がいくつか見つかった。自転車で行くにはちょっときつすぎるよなぁと思いつつ、いつか攻略してみたいと考えている。
 最後に、一足先に書かれたりくらいまーさんの記事もどうぞ。
【ブルべ】BRM722近畿400km神戸(甲) VALE TUDO Stage.3 氷ノ山1周に参加した話
[場所・兵庫][場所・鳥取]

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